大河ドラマ『どうする家康』、『幽⭐︎遊⭐︎白書』『みなに幸あれ』などで、存在感のある演技を見せ、注目を集めている古川琴音さん。この度映画『言えない秘密』で、初めてのラブストーリーのヒロイン役に挑戦した。台湾で爆発的にヒットした同名映画が原案だ。トラウマを抱えた音大生の湊人(京本大我)と出会う、ヒロインの雪乃役をキュートにミステリアスに演じている。
数々の美しいピアノ曲で彩られる、ノスタルジックで切ない恋物語。本作について、苦労したピアノ連弾について、たっぷり語ってくれた。
「ピュアすぎるくらいピュアな女の子を私が演じられるだろうかとプレッシャーに感じた」
――台本を読んで最初にどんな感想をお持ちになりましたか?
「こんなにみずみずしくてロマンチックな物語があるんだ」と心が躍りました。原案となった台湾映画の『言えない秘密』も拝見しましたが、美しいピアノの旋律に乗って物語が進み、途中からのトーンの変化にも驚きました。怖いくらいの一途な思いがこの物語の最も美しいところだと思ったので、そこを大切に演じたいなと思いました。
――古川さんが演じられた雪乃はどんな女の子だと思いましたか?
少し浮世離れしているというか、ミステリアスな印象ですよね。でも、演じる時にはそこはあまり意識しませんでした。台本通りに演じていれば、自ずとミステリアスに見えてくると思ったので、それよりは湊人に寄せる思いの方に集中していました。
湊人に会うたびに、自分に向けられる表情や言葉によって、どんどん「好き」のポイントが貯まっていくというようなイメージを持っていました。
――古川さんにとっては、初めての恋愛映画のヒロイン役です。ホラーやヒューマンドラマと現場の雰囲気は何か違いがありましたか?
恋愛映画ならではだと思ったのは、やっぱり相手役の方との距離が近いことですよね。肩が触れ合ったり、目を見つめたり、これは全然違うなと思いました。
これまで個性的な役をいただくことが多くて、物語中でスパイスのような役割を求められてきたと思います。ただ、雪乃はそれとは逆に儚げで、存在も謎に包まれています。ピュアすぎるくらいピュアな女の子。物語だからこそ成立する、理想の人格です。好きな人のために自分を捧げようとする、ピュアな魂を具現化したような無垢な存在だと思いました。
私が演じる雪乃が、そういう美しい存在としてちゃんと見ていただけるだろうかと最初はプレッシャーに感じていました。
――ご自身に似ているところはありますか?
雪乃と同列に語るのはなんだか申し訳ないですけれど、一途というか猪突猛進なところは私にもあるかなと思います。好きな曲はずっとリピートして聴くことができますし、配信ドラマを寝る間も惜しんで2、3日で一気見してしまうタイプです(笑)。
2024.07.02(火)
文=黒瀬朋子