1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。
「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。
CREA 2024年夏号
『猫のいる毎日は。』
定価980円
ピュアな恋愛が似合うその人は、真っ直ぐな目でこう言った。「人に喜んでほしいんです」。誰かのために、尽くせてしまう人。
なぜそこまで。その原点は――。
監督のつくる画のなかで、どれだけ暴れられるか
「今日は全部フィルムですか?」
顔見知りのカメラマンに気さくに話しかける高橋文哉さん。夜の撮影だというのに、疲れも見せず人懐っこい笑顔で現場を明るく照らす。3月には日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、快進撃が止まらない。最新作の映画『からかい上手の高木さん』では、これまで見せたことのないような一面を披露している。メガホンを取ったのは、恋愛の機微を繊細に描いてきた今泉力哉監督だ。
「今泉監督のつくる画のなかで、どれだけ暴れられるかが大事だなと思いながらやっていました」
永野芽郁さん演じる中学の同級生の高木さんに、からかわれる中学校の体育教師・西片役。ドキッとしたりビクッとしたり、リアクションが肝となる作品だ。
「高木さんに不意にからかわれても、ちゃんと返せるように常に意識していました。撮影に入る前は、家で数秒後に音の鳴る機械をセッティングして、鏡を見ながらどのくらいのテンションが自然に見えるか試してみたり。でも、初めてのリハーサルでは、自分でも想像しなかったような大きな声が出てしまってそれに驚きました(笑)」
2024.06.09(日)
文=黒瀬朋子
写真=松岡一哲
スタイリング=Shinya Tokita
ヘア&メイク=池上 豪