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お土産を探しながら市街地をぶらりと散策

 街の中心部で目をひくのは、カジノのネオンでも高層ビルでもなく、鮮やかな色。色彩を放っているのは、歴史建造物や公共の建物、人々が昔から暮らす家、そしてその軒先に咲く南国の花々だ。

 マカオにこんな独特の風景があるのは、4世紀以上にわたる長い歴史があるからこそ。東アジアでの交易拠点を求めてポルトガル人がこの地にやって来た16世紀以降、ポルトガルと地の文化が融合して独特の文化が育まれた。

 散策で道しるべとなるのは、アズレージョ(装飾タイル)の道路標識。どんな小さな路地にもひとつひとつ名前があって、中国語とポルトガル語が表記されている。

 人混みを避けるなら、南湾湖の西に聳えるペンニャの丘へ。ペンニャ教会へと続く曲がりくねった坂道を登れば、ますますポルトガルの風情は濃厚になる。

 途中には、ピンク色の壁に囲まれた禮賓府(迎賓館)や、黄色のポルトガル領事館。時が止まったような穏やかな景色が、マカオの変わらない美しさをみせてくれる。

 ちなみに、マカオは治安がとてもいいので、女性の一人歩きも安心。夏は涼しくなった日没後に、ぶらりと散策するのも気持ちがいい。

 市街地を歩いてスーパーマーケットを見つけたら、ぜひ、のぞいてみて。ポルトガルの缶詰やアーモンドクッキーは、見た目も味も喜ばれる、マカオの定番のお土産だ。

2024.05.24(金)
文=芹澤和美
写真=Lina Shigemitsu