洞口 そうやって真田さんが見守ってくれていると思うと、安心するし、心強いし。

奥野 真田さんの手の中にいるみたいな安心感ですよね。

洞口 お釈迦様みたいな(笑)。

 

心の底から現場という戦場を楽しむ姿

奥野 ご自身が立ち会えない撮影も、ずっと小さなモニタで、リアルタイムでチェックしてましたよね。

洞口 そうそう。撮影中、別班でロケに行っているチームや、違うセットでやっているチームもあるんですけど、それも真田さんは常にチェックしているんですよ。

奥野 いないときも全部見られている(笑)。日本でやったアフレコまでオンラインで参加して、演出してくださいましたもん。

洞口 真田さんはロサンゼルスにいて、時差もあるのに「こっちは暖かいよ」なんて言いながら、「もう少し息遣いを頂けますか」とか、役者ならではの的確な指示があるんですよ。

奥野 いつ休んでいるんだろう?って思うほど超人でしたよね。しかも子供のように「いや~楽しいんだよね~」っておっしゃってて(笑)。

洞口 そうそう! 撮影も終盤に差し掛かったときに「終わるのが寂しい」っておっしゃっていて。本当にこの人は心の底から現場という戦場を楽しんでいらっしゃるんだなって。

 一方で、人間らしいところもあるんですよ。日本の現場だとミステイクをすると、そのシーンの最初から撮り直しになる事が多々あるけど、向こうは、自分のテンポで中断したところから仕切り直していい。

 事前に「それが普通だから大丈夫だよ」と言われても、やっぱりこちらは最初ドキドキするわけですよ。ところが真田さんも、長台詞でミスをしてやり直していて(笑)。それを見て「あ、本当にいいんだ」って、こちらも安心して臨むことができました。

撮影が進むほど「何かを賭けている感じ」がした

奥野 完璧な部分ばかりですけど、情けなく見せて笑わせてくれるところもあったり。すごく人間味のある方ですよね。

 それと、これは僕の印象なのですが、常にチャレンジをしている方だなと思いました。実際、撮影の終盤でお話をしていたら、「これが終わったら、次に何やろうかってことを考えちゃうんだろうな」とおっしゃっていたのがすごく印象に残っていて。

2024.05.09(木)
文=林田順子