この記事の連載

お茶屋のリアルな「花代」はいくら?

「いや、そこは逆に明朗会計。普通にお茶屋さん行って、ぱっと帰るだけやったら、一人8千円程度。何時間いようがかまへん。芸妓さんや舞妓さんがつくと、一人につき2時間3万円。いわゆる花代やね。二人呼んだら6万円。飲み物代は別やけど」

 高いと感じるか、安いと感じるか……。は、さておき、思いのほかしっかり、きっちりな料金体系。信用に基づく商売だからだろうか。文化を継承している自負があるからかもしれない。知人いわく「キャバクラのほうが高い」そうだ。

 キャバクラと聞いて思い出したけれど、以前京都で女子会を開いたとき、二次会で友人が昔なじみの会員制バーに連れて行ってくれたことがあった。場所は、祇園のキャバクラ街。もちろんメニューはなし。お会計は言い値である。数人で焼酎、ワインなどをそれぞれ飲み、ハイボールを2杯飲んだ私は4,500円、瓶ビールを1本飲んだ別の友人も同じく4,500円だった。

 友人たちとの愉快な宴を終えて、気分よく酔っ払って帰宅し、そのまま爆睡。次の日の朝、ふと昨夜の記憶を思い起こし、我に返って戦慄した。ビール1本4,500円! いくらなんでも会計が粗すぎない!?(誤解のないよう断っておくと、連れて行ってくれた友人にはなんの悪意もない。むしろネタになる体験ができて感謝)。

 以来、祇園のその一帯は、私のなかで“飲んだら危険地帯”に設定されている。

京都はこわくない

定価 1,650円(税込)
大和書房
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

次の話を読む「それは“いけず”じゃなくって」お店での塩対応を愚痴っていたら…京都人が教える、店側の“言い分”

2024.05.15(水)
文=仁平 綾