2020年から四川省で暮らす予定だった
タンタンがいるおかげで、観覧者は楽しんだり癒されたりしました。愛称は「神戸のお嬢様」。王子動物園と中国の技術交流も進み、同園のパンダ研究も進展。飼育員と獣医師はパンダセンターの雅安碧峰峡基地で研修を受けました。
四川省の成都で2018年11月に開催されたパンダに関する国際会議では、老化が始まったタンタンの健康管理などをテーマに王子動物園の獣医師の谷口祥介さんが発表。タンタンの目の病気の治療やハズバンダリートレーニング(人間が検査・治療しやすい姿勢を動物が自主的にとれるようにする訓練)などについて話しました。
タンタンは来園して20年となる2020年の7月15日を期限に中国へ帰ることが決まりました。「高齢のパンダなので、今後は体の負担が少ない場所で過ごさせたい。中国は高齢パンダの飼育経験が豊富なので任せてほしい」との中国側の意向でした。新居は四川省にあるパンダセンターの都江堰基地です。タンタンの4歳上の姉のバイユン(白雲)もアメリカでの約23年間の滞在を終え、2019年5月から都江堰基地で暮らしています。
![王子動物園内に展示された「日中共同飼育繁殖研究」の成果の一部。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/d/-/img_0d0c1734aaefe263fef4d85bf1fd8f2d98467.jpg)
![2020年に予定されたタンタンの帰国を前に、神戸の三宮で「ありがとうタンタン」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/0/-/img_50aa3d3ea6bd933751e2d47ea490d7b9163505.jpg)
![中国への帰国が決まっていた25歳の誕生日。タンタンの好物を使い、飼育員が氷のケーキを手作りしてプレゼント(2020年9月16日)。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/-/img_260cacd48f41be02cf912d19556e4810113466.jpg)
ところがコロナ禍でタンタンの帰国は延期。翌2021年3月、加齢に伴う心臓疾患が判明して帰国は難しくなりました。治療には、王子動物園と連携協定を結ぶ大阪公立大学など、園外の人たちも協力。パンダセンターは2022年5月から獣医師や飼育員を派遣しサポートしてきました。
タンタンは2021年11月22日から非公開。12月14日に公開を再開したものの、2022年3月14日から再び非公開となり、以後、一般公開されることはありませんでした。
2024.04.06(土)
文・写真=中川美帆