この記事の連載

 フランス・メルヴィルでの工場見学をもとに、鋳物ホーロー鍋「STAUB(ストウブ)」が50年もの間愛され続けてきた理由を解剖した前編。後編では、メルヴィルの近郊にある都市リールの街の魅力とともに、ストウブがフランスの食文化にどのように根ざしているのかをお届けしていきます。


ベルギーとの国境の美しい街「リール」へ

 メルヴィルの工場からリールへは、車で30分ほど。ベルギーとの国境に近いフランス北部にあり、中世にはフランドルと呼ばれていた地域です。古くから交易都市として栄えていたリールの中央広場には、豪奢な佇まいのアール・デコ様式の建物がそびえ立っています。ランドマークの鐘楼は世界遺産にも登録されているそう。

 路地を入って、17世紀築の赤レンガ造りの建物が並ぶ旧市街へ。まるでおとぎ話の世界のような可愛らしい街並みが続きます。

 リールを訪れたからには、必ず行っておきたいのが「Meert(メール)」の本店。1761年創業の老舗パティスリーで、名物のゴーフルを楽しめます。

 ゴーフルとは、フランス語でワッフルのこと。薄いブリオッシュ生地にマダガスカル産バニラのペーストを挟んだ生菓子です。しっとりとした柔らかい生地とシャリッとした食感の甘いペーストが絶品! 1849年以降、ずっと同じレシピで作っているそう。定番のバニラのほか、キャラメルやピスタチオ、マロン、ラムレーズンなど、フレーバーも豊富です。

 パリにも支店はあるけれど、リール本店のシックな内装は訪れる価値あり! そしてカフェスペースにて、パリでは提供していないケーキをいただくこともできます。ゆっくりお茶を楽しんだ後、ゴーフルやジャム、茶葉をお土産にするのがおすすめ。

Meert(メール)

所在地 25-27 Rue Esquermoise, 59000 Lille
https://www.meert.fr/fr/

2024.03.20(水)
文=鈴木桃子