この記事の連載

●ライブ感溢れる『愛にイナズマ』現場

――具体的には、どんな現場だったんですか?

 クランクイン初日に、石井監督が「みんな何するか分からない」と言っていて、「今から、そんなヤバい人たちと撮影するんだ」と思いましたけど、みんな駆け出しの若手とは違うし、自分だけ目立てばいいという、浅はかな人もいないんですよ。テンションを上げつつ、しっかり全体の空気を見ながら、ちゃんと打てるとこを打っていく。その能力がとてつもなく高い人たちの集まりだったので、ちゃんと自分のやるべきことと、目立たなきゃいけないときを分析しながらやっていくんです。

 みんなの芝居が本番で変わったりするので、石井監督はとりあえず本番をかけるんですが、だからこそ、ああいう形にまとまったんだと思います。あれを割と稚拙な人たちでやったら、崩壊していたと思います(笑)。

~次回は主演最新作『ペナルティループ』についても語っていただきます~

若葉竜也(わかば・りゅうや)

1989年6月10日生まれ。東京都出身。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で、数多くの作品に出演。幼少から俳優として活動し、『葛城事件』(16年)では、第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。20年のNHK朝ドラ「おちょやん」に出演するほか、主演作『街の上で』(21年)、『窓辺にて』(23年)、『ちひろさん』(23年)などの今泉力哉監督作に多く出演。本作が主演2作目となる。

『ペナルティループ』

素性不明の男・溝口(伊勢谷友介)に恋人の唯(山下リオ)を殺されてしまった岩森淳(若葉竜也)。自らの手で溝口に復讐することを決意した岩森は、綿密な計画を立てて殺害を実行するが、翌朝に目覚めると周囲の様子は昨日とまったく同じで、殺したはずの溝口も生きている。なぜか、時間が昨日に戻っていることに気づいた岩森は、戸惑いながらも復讐を繰り返すが、何度殺してもまた同じ日に戻ってしまうのだった。
https://penalty-loop.jp/
3月22日(金)新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開

次の話を読む伊勢谷友介との掛け合いは「必要以上に焚きつけさせてもらいました」若葉竜也が明かす『ペナルティループ』

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2024.03.08(金)
文=くれい 響
撮影=今井知佑