中央の主要メンバーは、曲ごとの応援パターンを創作。コール、かけ声、手拍子に紙テープを投げ入れるタイミングなどを工夫した。そして、応援パンフを作って配ったり、それを地方に郵送するなどして決定事項を周知徹底することによって、アーティストと観客が完全に一体化した、超絶な熱気のステージを生み出すことに成功した。これは、日本における「ドルオタ」の生きざまの源流になったと言われる。

 

「紅白でも“親衛隊”と紹介されていましたが…」

「紅白でも“親衛隊”と紹介されていましたが、僕たち、全キャン連や全ラン連は、出待ち入り待ちはしてなかったし、それとは違います。また、事務所主体の“ファンクラブ”でもありません。特にライブに注力して本人たちに喜んでいただく、自主的な応援組織なんです。

 それから、“推し活”の元祖と言われることもありますが、その言葉は方向が違いますね。主体は自分ではなく彼女たち3人ですから、推すなんて不遜ですよね。“応援させて頂いてありがとうございます”ということなのです。あと、3人でステージに上がっているわけですから、自分の好きな1人だけを応援するというのは失礼だし許されない。必ずキャンディーズとして応援し、全員に喜んでもらう。かつての全キャン連はそういう決めごとを、必ず守るようにしていました」(石黒氏)

 彼らが現在のアイドルファンからも敬愛を集めているのは、「何をしたら本人が喜ぶか」という徹底した利他思考のもとに行動し、それを最後まで貫いたある種の純真性が、「ファン道」のあるべき姿と評価されているからだろう。

「僕らは、ライブを観に行く、聴きに行くのではなく、参加するという気持ちで臨んでいました。ただ歌を聴くだけなら、テレビでもこと足りる。それと大事なこととして、バラバラと自分勝手に応援するのは烏合の衆です。一緒に会場にエネルギーを満たし、そこにいる全員が燃え尽きる。そんな熱い空間が好きでした」(石黒氏)

2024.02.18(日)
文=欠端大林