初訪問時、「冷や肉そば」を食べて「角萬にはもう行かなくてもいいな」と呟いたことを思い出した。大晦日も夜通し営業で、正月元旦も店を開けるという。本当に頭が下がる。

INFORMATION

「南天」
住所:東京都豊島区長崎1-2-2
営業時間:5:30~25:30
定休日:なし

神田小川町「豊はる」は、いま旬の時

 神田小川町に「豊はる」がオープンしたのは2023年1月である。店主の西村さんは修行先の「豊しま」の味とさらに自らの味を開拓すべく肉に取り組みもがいてきた。そして一筋の光が差してきた。「元祖パイカそば」を考案し人気を得た。さらにこの11月には「牛ばらそば」を発売し、グランドメニューに格上げとなった。肉をそばに近づけるべく日夜新メニューを考案しているのだ。そんな「牛ばらそば」(700円)を食べに行ってみた。

 相変わらずの綺麗な店内、入るとすぐに「いらっしゃーい」と元気な掛け声が飛んでくる。注文すると、そばをまずじっくり湯通しする。そして湯切りしてどんぶりに入れて、アツアツのつゆをはる。そしてアルミ鍋のふたを開けてじっくり炊いた牛ばら肉をどんぶりに入れて、さらにその肉汁をどんぶりにかけていく。これがキーポイントだ。この肉汁がそばつゆと融合を果たすのだ。

 到着したどんぶりのつゆをひとくち。このつゆはただのそばつゆではなくなっている。肉のうまみがしっかり沁み込んだつゆの味だ。これが全体の味を調和させしかも際立たせている。返しの醤油もやや薄口に変更し肉のうまみを引き出す工夫にチャレンジしている。薬味の生姜味噌がまた味の深みを増していくのだ。

 なお12月は牛ホルモンを使った「てっちゃんそば」(810)円を販売中だとか。どこまで行くのか楽しみである。

INFORMATION

「豊はる」
住所:東京都千代田区神田小川町3-11-10
営業時間:月~金 6:30~18:00
       土・祝 6:30~15:00
定休日:日曜日

2023.12.28(木)
文=坂崎仁紀