【to AKITA】
極上の手業の数々に伝統の深みを知る

 ブランド米のあきたこまちや比内地鶏、大館曲げわっぱなど、全国区の知名度を誇る特産品や工芸品に恵まれている秋田県。伝統を守りながら挑戦を続ける、メイドイン秋田の最新を紹介。

職人の情熱が生んだ新しい工芸品と地酒

 国指定の伝統的工芸品「大館曲げわっぱ」の産地として有名な大館市。近年その良さが見直され、愛用者も増えていることから、伝統を守りつつ、現代の暮らしに寄り添って進化を続けている。「大館工芸社」では、限りある資源を生かそうと、昨年2月から新ブランド「Blanc Pa(ブランパ)」を展開。これまで規格外とされていた丸太の外周部を活用し、サステナブルな曲げわっぱを生み出した。

 昨年3月には、JR五能線沿線に新たな名所が誕生。八峰町で120年以上続く蔵元「山本酒造店」が手がける「LABO and CAFE YAMAMOTO」は、一般流通しない生酒をメインに、東北で唯一「ピエール・エルメ・パリ」のマカロンが常時味わえることでも話題に。

 「五能線の運行本数は1~2時間に1本。日本酒を楽しんでもらうには、ちょうどいい間隔なんです」とにこやかに話すのは、蔵元6代目の山本友文さん。鉄道旅なら、心ゆくまで美酒に酔いしれる喜びが待つ。

◆大館工芸社

秋田杉を有効活用した新しい曲げわっぱを提案

 樹齢100年以上の秋田杉を薄く剝いだ板を曲げ、桜の皮で縫い留めた「大館曲げわっぱ」。今年で創業65年を迎える「大館工芸社」は、製材、曲げ加工、桜皮縫い、底入れ、仕上げまでを一貫して行う数少ないメーカーだ。

 杉の赤身材だけを使う伝統の曲げわっぱに加えて、新ブランド「Blanc Pa」の評判も上々。赤と白の木目のグラデーションが個性的なこのシリーズは、すべての製品に製造年月とエディションナンバーが刻印され、世界で一つという特別感に愛着も深まる。

 併設のクラフトスタジオでは、事前予約制で曲げわっぱの製作体験4,400円~も実施。その技術や作業工程を知ると、作り手への敬意が生まれてくる。

大館工芸社

所在地 秋田県大館市釈迦内字家後29-15
電話番号 0186-48-7700
営業時間 8時30分~17時
定休日 日曜・祝日(土曜不定)
https://www.magewappa.co.jp/
●曲げわっぱ製作体験を随時実施。詳細はHP参照。

●ハチ公の故郷・大館の愛犬家必訪スポットへ

2024.01.21(日)
文=田辺千菊(Choki!)
写真=志水 隆、高田新太郎

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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