この記事の連載
- 村瀬 健インタビュー #1
- 村瀬 健インタビュー #2
ジャンル分けできないドラマ『いちばんすきな花』
――こうして生方さんと村瀬さんのタッグが再び話題を呼ぶと、また次も、と期待がどんどん高まると思いますが。
今回の本に、僕と坂元裕二さんとの対談が収録されているじゃないですか。あの対談で、僕はどんなインタビュアーさんよりも坂元さんの本音を引き出せたんじゃないかって勝手に思ってるんですけど(笑)、特にこれが聞けた! と思ったのは「プロデューサーによって書くものが変わる」という部分なんですよね。ドラマって、脚本家とプロデューサーの相関関係が反映されるものだと思うんです。生方さんも、今はまだ僕と組んだ作品しかないけれど、僕以外のプロデューサーと組んだらまた新たな世界が広がっていくと思う。それを見るのも楽しみです。
――生方さんの色も、組むプロデューサーによって変わっていく。
そう思っています。ただ、生方さんという才能を見つけ出した以上、僕自身も自分のやり方で生方さんのよさを引き出したい。『silent』が脚光を浴びたからといって、彼女はラブストーリーだけの脚本家ではない。彼女がこれまで書いた作品をすべて読ませてもらったら、まあとにかくいろんなジャンルがあったんです。なんでも書ける人なんだなと思いました。だから2作目で僕らは、ラブストーリーとは言えないものを作った。
――「いちばんすきな花」はたしかに、ジャンルを一言で言えないドラマですね。
ドラマの中でまさに美鳥ちゃんが「判定したくて仕方がないんだよね」と言っているんですが、僕らってすぐジャンル分けしたがりますよね。でも「いちばんすきな花」はそういうカテゴライズに当てはまらないものを目指したかったし、それが実現できていると思います。
村瀬 健(むらせ・けん)
フジテレビジョン 編成制作局ドラマ・映画制作センター 部長職ゼネラルプロデューサー
早稲田大学社会科学部卒業後、日本テレビに入社。『14才の母』などのヒットドラマを手がけたのちに転職。フジテレビ入社後は『太陽と海の教室』『BOSS』『SUMMER NUDE』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』などを手がける。映画でも『信長協奏曲』『キャラクター』などのヒット作品を送り出す。
2022年に手がけたドラマ『silent』が大ヒットを飛ばし、累計見逃し配信数で民放歴代最高記録を樹立。『silent』の脚本家・生方美久と再びタッグを組んだドラマ「いちばんすきな花」が放送中。
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2023.12.21(木)
文=釣木文恵
写真=深野未季