本との出会い、人との出会いを創造する新しい形のオンライン書店「Chapters bookstore(以降チャプターズ)」。書店内での本の購入履歴をベースに、同じ読書体験を共有した人同士がビデオチャット「アペロ」を通じて人と人との出会いのきっかけを創る。そんなユニークなサービスが話題となり、これまでに5,000人を超える会員が登録、たくさんの出会いが誕生しています。

「チャプターズをきっかけにもっともっと多くの人が幸せになってほしい」

 サービス運営会社の株式会社ミッションロマンチックの代表取締役・森本萌乃さんはこう語ります。ロマンチックを追い求める森本さんに話を聞きました。

世界中にロマンチックな出会いを提供したい

 チャプターズ書店は月額サブスクリプション型のオンラインサービス。毎月、月替わりで、季節やトレンドに合わせた文庫本を4冊選書し、販売している。その中から気になった本を選び読書すると、同じ月に同じ本を読んだ人と感想を共有できるビデオチャット・アペロに参加できるというシステムだ。

 「『同じ本を読んだ体験を共有する』ってすごく魅力的なことだと思うんですよね。誰しもが本を読むことで感じた想いを分かち合いたいって思うし、みんなはどう感じたんだろうって考えますよね。

 それに、書店の文芸誌コーナーとかで同世代の人がいると、それだけでなんだかうれしくなるじゃないですか。ましてや自分の好きな作家さんの本を手にとっていたら『話しかけたい!』って思っちゃいますよね(笑)。でも、実際にはリアル書店でいきなり声をかけるのは難しい。その人が自分の人生の中でかけがえのない人になるかもしれないのに。

 書店で手と手が重なるような出会いを実際に提供できたらいいな、と思ってサービスを立ち上げました」

 基本的にはアペロは月に1回、自分が選んだ本に対して開催することができる。およそ20分のビデオチャットの中で、同じ本を読んだ者同士ゆっくりと対話を深めることができるのだ。

「好きなものをきっかけに、たまたま趣味のあう人と出会えたら、それはすごくロマンチックですよね。実際、サービスを始めて3年ほど経ちますが、連絡先交換率は通常のマッチングアプリの水準よりも高く、最近では毎月お付き合いをはじめる人たちが誕生しています。もっと世界中にロマンチックを提供したいですね」

 チャプターズが提供するアペロのマッチングは基本的には自動マッチング。同じ本を選んでいるというところで結ばれるので、顔写真や職業といった情報もプロフィールで登録する必要がない。

 「通常のマッチングアプリだとプロフィールや写真が重要な要素だと思うのですが、そういう表面的な部分でなく、もっと感覚的なところが、本当におつきあいするにあたっては重要じゃないですか。それに私自身もそうだったのですが、表面的な部分だけでお相手を探すのって、選ぶのにも疲れるし、選ばれないのにも疲れるんですよね。なんだか摩耗していく感じがするというか。

 あくまでも本がきっかけという部分を大事にすることで、変に恰好つける必要もない、ありのままの自分の姿での出会いが生まれると思うんですよね」

2023.12.04(月)
文=CREA編集部
撮影=細田 忠