出産年齢が高まるにつれ、親の更年期と娘の思春期が重なる家庭が増えました。また、親世代が10代だった頃と、今の子どもたちが生きる社会では、生理痛の捉え方、生理用品の選択肢、治療や予防からジェンダー意識も変化しています。そうした背景もあり、性のことや心身のことについて、どうやって娘と話せばいいのか悩んでいる親も多いのではないでしょうか。
ここでは、人気産婦人科医・高尾美穂さんが性教育について綴った著書『娘と話す、からだ・こころ・性のこと』(朝日新聞出版)より一部を抜粋。思春期の子どもに対して、性についてどう教えるのがいいのか、高尾さんのアドバイスを紹介します。(全2回の1回目/2回目に続く)
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直球質問が来た!「赤ちゃんはどこからくるの?」
あらためて、思春期の子どもに性についてどう教えるか、について考えてみたいと思います。
先ほど、「性交渉に興味を持ち始めるタイミング」と述べましたが、これも生理やファーストブラと同じで、それまでにどれだけ準備ができているかが大事になってきます。正直に言えば、子どもが思春期になってから急に「さあ、性について話しましょう」というのでは、やはりちょっと遅いのです。
「赤ちゃんはどこからくるの?」という好奇心が何歳で芽生えるかは、その子によって異なりますが、おおむね4歳から5歳ぐらいと言われています。
たった1つの質問から壮大なストーリーへと広がる
そして、子どもと信頼関係を築くための「嘘をつかない」ルールを守るのであれば、事実ではない言い方でごまかしたり、「あとでね」といってそのままにしたりするのは良くありません。この質問が飛んできたら、子どもに性について伝える取り組みがスタートしているととらえてみませんか。
考えてみると、「赤ちゃんはどこからくるの?」って、すごい質問ですよね。赤ちゃんが生まれてくるためには、お父さんとお母さんが出会うことが必要だし、精子と卵子が結合することが必要だし、着床して妊娠が成立し、無事に分娩することが必要だし……という具合に、たった1つの質問から、壮大なストーリーへと広がっていきます。
2023.11.29(水)
文=高尾美穂