子どもの好奇心に合わせて、少しずつ説明を足していく
そして、性交渉というものも、このストーリーに欠かせない要素ですね。そのように位置づけると、いやらしさや気恥ずかしさは、あまり感じないのではないでしょうか。
「赤ちゃんはどこからくるの?」が、4歳とか5歳の無邪気な質問であれば、
「お母さんのおなかの中だよ」
「おなかの中で大きくなって、外へ出てくるんだよ」
でいいと思います。そこから、じゃあどれくらいのあいだおなかの中にいるのかとか、どこを通って出てくるのかとか、子どもの好奇心に合わせて、少しずつ説明を足していけばいいでしょう。
その次の段階として、子どもの好奇心は、「赤ちゃんはどうやってできるの?」という疑問を生むだろうと思いますから、ここで精子と卵子が結合して赤ちゃんができるという過程を説明することになります。
子どもが性的なことに興味を持つよりも前に話す
ただ、大人の私たちもなんとなくはわかっているようで、いざ説明しようとすると、意外に混乱するものです。例えば、私が小学校低学年ぐらいの子どもに聞かれたら、こんなふうに説明するかな、という内容をまとめてみます。
赤ちゃんができるためには、男の人と女の人が必要です。
もう少し正確に言うと、男の人が持っている精子というものと、女の人が持っている卵子というものが必要です。
その精子と卵子はどこにあるかというと、からだの中の貯蔵庫なんだけど、貯蔵庫のある場所が、男の人と女の人とでは違っています。
男の人の場合は、おちんちんの近くにあるたまたま(袋)で、正式には「せいそう(精巣)」といいます。
女の人の場合は、おなかの中にある「らんそう(卵巣)」と呼ばれるところです。
精巣と卵巣の一番の違いって、何かわかる?
卵巣はおなかの中にあって外からは見えないけど、精巣はからだの外の出っぱったところにあるんだね。
精子と卵子が出合うためには、おなかの中で待っている卵子のところまで、精子を運んでいかないといけないんだね。
そうして、出合うことができたら、それが赤ちゃんができるスタートになるんだよね。
ここまでが第1段階かなと思います。どうでしょう?
「小学校低学年ではまだ早いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、子どもが性的なことに興味を持つよりも前に話すことが望ましいと思います。それによって興味を持つのはむしろ「あり」です。正しい段取りで知識に触れてほしいからです。
セックスについて科学的に伝える
次の段階は、「どうやって卵子のもとへ精子を運ぶの?」ということになりますが、ここでようやくセックス(性交渉)が登場します。性交渉について説明しないと、「赤ちゃんはどこからくるの?」という質問に、ちゃんと答えたことにはなりません。
小学校高学年ぐらいになれば、はっきりとはわからないけど、なんらかの赤ちゃんができるできごとがあって、その結果として赤ちゃんが生まれてくることはイメージできていると思うので、そうしたら、次の段階へ進みましょう。
2023.11.29(水)
文=高尾美穂