「そのほか“ゴミ出しの日”にも訪問すると、住人のゴミの分別状況が確認できます。ゴミの分別にだらしない住人が多い物件は要注意ですね」
隣人トラブルで自分が加害者になる危険性も
行き過ぎた行動は禁物だが「住人の様子を知っておくと、トラブルの可能性を最小限に抑えられる」と市場さん。
「当然ながら、入居後に起きる住民トラブルを100%防ぐのは不可能です。とはいえ、住人の特性を考慮して入居すると、不快な思いをする確率は下がります。神経質な人は、夜間に静かに暮らしている人が多い物件を選び、反対に自分が大きな生活音を出す可能性がある人は、音に寛容そうな住人が多い物件に入居する。住んでいる人々の傾向を見極めてから部屋を決めると、その後の生活もしやすくなるはずです」
騒音やゴミ出しなど集合住宅の隣人トラブルは、自分が加害者になる危険性もある。加害者リスクを下げる意味でも、事前確認のメリットは大きそうだ。
「不動産屋の担当者によっては、内見した日に『すぐに決めないと入居者が決まってしまうかもしれない』と急かしてくるケースもあります。これは営業マンが使う常套句のひとつですが、実際にその可能性もゼロではありません。なので、ネットで気になる物件を見つけた場合は、可能なチェックなどを内見前に済ませておくと、早めに決断できますよ」
住民の質は賃貸保証会社の種類で把握できる
部屋の中の内見は、あくまで最終確認。下調べに時間をかけよう。
じつは、部屋を借りる際に入居者が加入する「賃貸保証会社(家賃保証会社)」からも住人の傾向を知ることができる、と市場さん。以前は、連帯保証人を立てて家賃の滞納リスクに対応するのが一般的だったが、近年は、賃貸保証会社の利用を必須にしているオーナーが多いという。
「賃貸保証会社の種類は主に3つ。それぞれに審査基準が異なっており、住民の質にも違いがあります。クレジットカード会社が運営している『信販系保証会社』は、奨学金やクレジットカードの支払い状況、複数のチェック項目があり、審査が厳しいのが特徴です。裏を返すと、その物件には厳しい審査を通った人しか住んでいないので、安心感があります」
2023.10.25(水)
文=清談社