この記事の連載
- 『うちらはマブダチ』担当編集インタビュー
- 『うちらはマブダチ』より #1
- 『うちらはマブダチ』より #2
イラストレーターのやまもとりえさんが個性豊かな友人たちとの大学時代を描いたコミックエッセイ『うちらはマブダチ』(KADOKAWA)。作品内で描かれるキラキラとした青春に、「学生時代を思い出し、懐かしくなった」「私もこんな友達が欲しかった」という声が続出している。
現在3刷で発行部数2万3000部の同作(2023年9月29日時点)。読者から支持される秘密を探るべく、担当編集の山崎旬さんに話を聞いた。
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大人になると、なぜか「友だち」が難しくなる
作品が生まれたきっかけは偶然だったという。
「やまもとさんが息抜きがてらにご自身の飼い猫のエピソードをマンガにしたものを、SNSにアップしたことがはじまりです。
マンガに登場する、やまもとさんを猫に引き合わせた友人のYちゃんが『あまりに個性的だ』と話題に。そこから、美大時代のご友人たちの話を定期的に描いてアップされるようになりました」
当時、やまもとさんと一緒に別の作品を出す準備を進めていた山崎さんだが、一旦そちらはストップし、友人たちとのエピソードを本にまとめることに。山崎さんにとっても「友達」は思い入れのあるテーマだったという。
「大人になって働き始めると、同僚や取引先の人と仲良くなることはあるものの、『友達』と呼べる人を新しく作ることは難しい。学生時代の友人たちも、ライフステージが変わっていくにつれて疎遠になったりもする。大人になって、改めて『友達』って不思議な関係だなと思うようになったんです。
この仕事を始めたときからずっと考えていたことだったので、やまもとさんとご友人たちのお話に、強く惹かれるものがありました」
いつも谷間が見えているYちゃん、まるで山賊のような食べっぷりの親分、人の話を聞いていないMちゃん……。同作にはバラエティ豊かな顔ぶれが登場する。
「登場人物はやまもとさんとご友人が中心で、いわば『内輪』の話なんです。僕自身、美大出身でもないし、周囲もこんなに個性の強い友人ばかりではありませんでした。
それでも、この漫画を読んでいると、他人事とは思えないんですよね。むしろ、読んでいるうちに、自分も仲間に入れてもらえている気持ちになってくる」
同作では、友人たちと自宅に集まり、同作の制作についての相談をする様子も描かれている。アラフォーになっても温かい友情が続いているのが驚きだが、何か秘訣はあるのだろうか?
「それが、やまもとさんやご友人たちに聞いても、はっきりとはわからないようなんです。大学卒業後もしばらく、年1回一緒にグループ展をしていたことなどが大きいのでは、とのことだったのですが……。
ただ、今回この本を作ることを通して、リアルタイムでさらに仲が深まったことは確実なようです」
今後、やまもとさんとそのご友人の話の続編を出すことも検討しているそう。大人の友情の行方が楽しみだ。
うちらはマブダチ
定価 1,320円(税込)
KADOKAWA
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2023.10.07(土)
文=「CREA WEB」編集部