この記事の連載

 夜、眠りにつく前のひととき。マンガを読んで、しばし別世界にトリップするのが最高の癒し――という人も多いのでは。

 ベッドやソファでゴロンと寛ぎながらマンガを読むなら、やはり便利なのがスマホやタブレットで手軽に読める電子マンガ。最近は作品数も紙のマンガを遥かに凌ぐ充実ぶりで、無料で読めるものも多いとくれば、活用しない手はありません。

 そこで今回は人気の電子書籍ストアの名物スタッフ3人を迎えて、電子マンガの魅力と楽しみ方を大いに語ってもらいました。お呼びしたのは、honto電子書籍ストア コミック担当 荻野晶さん、ebookjapan マンガコンシェルジュ足立圭吾さん、ブックライブ 書店員 すず木さんです。

――電子媒体でマンガを読むことは、今やすっかり定着した感がありますね。

すず木 マンガ好きの方は以前から利用されていたと思うんですが、やっぱりコロナ禍で一気に広まった感じはありますよね。特に『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)は1巻の売り上げがストア全体の売り上げを上昇させるぐらい爆売れしました。

足立 確かに、あれはすごかったですね。他にも、2015年ぐらいに『キングダム』(原泰久/集英社)が「アメトーーク!」で取り上げられた時も、売り上げが一気に上昇しました。

荻野 やっぱりテレビや何かで、そのマンガのことを知った人が、すぐに買って読めるというのは大きいですよね。

足立 お店に行かなくてもいいし、商品が売り切れるということもないですからね。

――いつでもどこでもすぐに読めるのは、電子マンガの大きな魅力ですよね。

荻野 個人的にはいつでもどこでも布教できるのが電子の魅力だなと思っています。友達との会話の中で、「これこれ!」ってスマホで電子のページを見せて、すぐに買ってもらえる(笑)。

すず木 私はおすすめ作品のURLを友達に、「途中まででもいいから読んでみて」と、どんどん送っています。

足立 電子マンガは「1巻無料」みたいなキャンペーンも多いので、興味の範疇になかった作品にも手が出しやすいですよね。

荻野 1巻無料だし……と思って読むと、まんまと続きが読みたくなって買っちゃうという(笑)。

すず木 そうそう。なんとなく読んでみたいけど、いきなりお金を出すのはハードルが高いような作品を、とりあえずお試しで手当たり次第に読めるのは、ものすごく嬉しい。私自身、今日この作品がランキングのトップになってるから読んでみよう、というのがきっかけでハマった作品がたくさんあります。

2023.09.09(土)
文=井口啓子
撮影=末永裕樹