――ゲラ(校正用の印刷物)で読んだので、『マリエ』の装丁がどうなるか、とても楽しみです。装丁はどのように決めているのでしょうか?
千早 いつも、編集者やデザイナーと装丁会議をするんです。作品のイメージを共有して、カバーを写真にするか、絵にするか、といったことから、どの写真家さんが良いか、どのイラストレーターさんにお願いしたいかというアイデアを出し合います。私の希望が通らないことももちろんあって、デザイナーや編集者の意見に納得できれば、その方針にあわせて考えていきますね。『マリエ』の装丁を担当してくださったデザイナーの大久保明子さんはとても信頼している方です。今回も、素敵な一冊に仕上がって嬉しいです。 いつも、新しい本が出るときは、その本のイメージカラーに合わせて服や靴、ネイルなどのコーデを考えるので、それも楽しいですね。
――『マリエ』は登場人物が多いですが、みんなそれぞれに印象的で心に残りました。個性的なキャラクターを紡ぎ出すためのコツはありますか?
千早 そう言っていただけて嬉しいです。私は、登場人物のビジュアルをはじめとして、収入とか、好きな食べ物とか、生活習慣なども細かく設定を考えます。でも考えたこと、設定したことの全ては書かないですね。だいたい考えたうちの30%くらいしか使いません。その方が、奥行きがでる気がします。
――わたしの母もまりえと同じ年齢で離婚したんです。でも、何を考えていたかが自分にはわからなくて。もしまりえたちの間に子供がいたら、二人の選択は変わったでしょうか。
千早 それは当然、変わったと思います。『マリエ』を書いた時に、不倫とか、相手に非があるから、とかではなくて、したいことがあるから離婚する、という選択があってもいいと思っていたんですが、子供がいたらもっと複雑な状況になったでしょうね。自由を選択するという意味も変わってきます。子供の眼から見た離婚を視野に入れた作品も書いてみたいと、今のお話を伺って思いました。ありがとうございます。
2023.09.15(金)