段丘をいかして生まれた鉱山町相川をそぞろ歩き
【DAY.2】
「史跡 佐渡金山」を巡ってから、相川の港町や京町を歩くと、佐渡島の往時の勢いが感じられるもの。「大間港」は、佐渡金銀山から鉱石などの搬入のために、明治中期につくられた港です。人工的に石を積んでつくられた護岸や大正・昭和に設置されたクレーン台座、トラス橋などがそのまま残っている、遺構ロマン漂うスポット。
相川はかつての鉱山町。金山の発見を機に大規模な鉱山開発が始まって、海と山の狭間に鉱山町相川が誕生しました。ゴールドラッシュに湧いた江戸時代には、なんと人口5万人も住んでいたそう。さまざまな職業の人々が集まって多くの商店が軒を並べた通りは、往時の都市計画の名残をとどめています。
細い路地が随所に見られ、ゆるやかな勾配にさりげなく敷かれた石段があったり。鉱山は休山しても、段丘をいかして形成された独特な佇まいは、今も継承されています。
京町通りを山側に上がると蔦に絡まった建物が。昭和29年に新潟刑務所相川拘置支所として開設され、昭和47年まで実際に使われていたという「旧相川拘置支所」です。現存する木造拘置所は全国的にも珍しく、館内は自由に見学できます。雑居房や独居房、医務室、面会室などがほぼ当時のまま。雰囲気たっぷりの隠れたフォトスポットです。
2023.09.08(金)
文=大嶋律子(giraffe)
写真=鈴木七絵