“観光”への大胆な舵取りを行った村長さんのお話

 また、神の浜展望台では無人島の安慶名敷(あげなしく)島や嘉比島など、島々が折重なる風光明媚な景色が愛でられます。

 豪快な地形のチシ展望台、海へと続くような遊歩道の女瀬の崎(うなじのさち)展望台、渡名喜島や久米島を望む稲崎展望台、それぞれ味わいが異なる絶景が楽しめます。

 宮里村長に島内を案内をしてもらいながら、興味深い話をたくさんうかがいました。

 たとえば、座間味村の二大村長といえば、まずは初代の松田和三郎さん。100年以上前から人を育てる大切さを説き、学校教育や人材育成に尽力した方だそう。

 松田村長は村の若者を県外のカツオ漁船に修業に出し、技術を島に持って帰ってもらいました。そして1901年からカツオ漁とカツオ節生産をスタート。その結果、座間味島は沖縄県においてカツオ漁業の先駆者的存在になりました。そして良質なカツオ節は“慶良間節”としてブランド化にも成功。

 こうして豊かになった座間味村は、富裕層しか学校に通えなかった大正期でも、就学率100%を誇ったそうです。

 とはいえ、カツオ節産業も昭和40年代半ばあたりから斜陽に……。そこで二大村長のもう一人、田中 登村長が、がらりと方向転換。「これからは観光で行こう!」

 田中村長は自分の家を民宿に建て替え、役場の職員にも空いている部屋を活用して民宿にするよう奨励したそうです。二人の村長の先見の明と、行動力、見習いたいものです。

2023.07.01(土)
文・撮影=古関千恵子