理想は、できればこのままでいたい

――岡田さんはキャリアを積み重ねても、ずっと透明感をお持ちで、変わらない印象があります。

 全然そんなことないです!

――そうですか? 私、騙されているんでしょうか(笑)。

 そうですよ、騙されていますよ(笑)。所詮、人は良いところしか見せませんから。しみけんさんもそうですが、現場で若い人、心のキレイな人たちと仕事をすると、自分の醜さを思い知らされます。

――そんなふうに思えること自体、岡田さんが純粋だからではないでしょうか。心が曇っている人は、他人の心がキレイかどうかにも気づかないと思います。岡田さんは、純粋でありたいという気持ちを大切にされているのですか?

そうですね……。純粋な気持ちは忘れないようにしようとは思っているかもしれないです。

――キャリアを積み、ベテランになっていくと周囲の対応も変わってきますし、純粋さよりも、器用さや威厳を身につける方も多い気がします。岡田さんはどうありたいと思いますか?

 理想は、できればこのままでいたいです。

 もし、50代や60代になってもこの仕事を続けていけるのであれば、この状態のままでいたいですね。威厳を持って、現場を引き締めてくださる方もいらして、それは素敵なことだと思います。ただ、僕はどの作品に関わるときも、なるべく心地よい環境で、みなさんが自由に発言しやすい現場になるといいなと思っています。

 普段から大きな声も出しませんし。だから、舞台でたまに大きな声を出す場面があると、自分の声の大きさにびっくりしちゃうんです(笑)。

2023.07.07(金)
文=黒瀬朋子
写真=榎本麻美
スタイリスト=小林麗子
ヘアメイク=大石裕介
衣装協力:NEEDLES(ジャケット、シャツ、パンツ、ミュール)