2月のある日、奄美大島にある宿泊施設、「伝泊 The Beachfront MIJORA」で開かれた小さくて特別な食事会。この地が育んだ食材と文化を東京・広尾「Ode」のシェフの解釈で。

 奄美の海を眺め、食を知り、味わう、まるで幻のように美しい一夜限りのディナーをレポート。


自然と文化に敬意を払うガストロノミーツーリズム

 奄美大島のリゾート「伝泊」のレストラン「2waters」で、広尾「Ode」の生井祐介シェフが腕を振るう─。

 フレンチでありながら、イノベーティブで自由な発想の料理を提案する「Ode」と、奄美大島の伝統を重んじ、新しい島の魅力を発信する「伝泊」の縁を繋いだのは日本航空(以下、JAL)。

 「食」を通じて地域の食文化を発信するガストロノミーツーリズム「Fly to Table ~A Journey of Flavors~」をローンチ。航空会社が移動だけでなく、文化を繋ぎ、夢の経験をもたらしてくれる。

 生井シェフは、この機に改めて奄美大島の食に関する文献を紐解き、実際に足を運んで産地を巡ったという。

 コースを前にし「決して恵まれた土地ではない。その歴史があるからこそ、食への必死さや本物の知恵がある」と、島の食文化への敬意を語る。

 たとえばハーブ園「やまごやハーブ amaja」では自生する野草が薬であり、食事の材料であり、おやつの楽しみでもある。

 限られた食材を次世代のために保存するという考え方を聞き、地豆を持ち帰って豆板醬にするなど、時間をかけた味も準備した。

 さあ、いったいどんな料理になるのか。それが単なるコラボレーション企画ではないことを予感させるように、ゲストを迎えたのは、シャンパングラスごしに見る奄美のこの場所でしか出合えない絶景サンセット。唯一無二のガストロノミー体験のはじまりだ。

2023.06.23(金)
文=北條芽以
撮影=長谷川 潤

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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