Mikiko Iyama 井山三希子
石膏型に粘土板を手で圧着させ、形作る。型物のよさと手のぬくもりの双方が宿る井山三希子の器には、どこかのんびりとした雰囲気が漂う。
「そこにあるだけでまわりの空気がなごむような、柔らかさがある。独特の存在感があります」
それは、使い心地のよさを大切に考えられた形だけでなく、手で押した凹凸が生む独特の肌合いから醸し出されるものでもある。
「白だけれど真っ白じゃない。微妙な陰影のある、光を吸い込むような表情なんです。どこか陰があって、それが日本人の感覚によく合うのだと思います」
19年前の独立以来、世代を問わず多くの人に愛されてきた理由は、そんなところにあるようだ。
2011.08.26(金)
selection:Yoko Hiramatsu
text:Namiko Uno
photographs:Toru Kometani
styling:Yuko Oshima