この記事の連載

 登録者数35万人超のYouTubeチャンネル『GOROGORO KITCHEN』で、パリを中心としたフランスでの暮らしの情報を発信するMamikoさん。初の著書『心満たされるパリの暮らし』から、くいしん坊のMamikoさんならではの食に関するエッセイをお届けします。


いつの間にか、甘いものが大好きに

 私は自他共に認める、大のお酒好きです。お酒呑みは甘いものが苦手という説がありますが、ご多分に漏れず私も、成人してからは次第に甘いものから遠ざかりました。お酒でカロリーを取っているのだから、これ以上糖分を取ってはいかん、という自制心もあり、日本にいた頃は自分で甘いもの、ましてやケーキなどを買うことはほとんどありませんでした。

 ところが最近では、すっかり甘いものを食べることに躊躇がなくなってしまったのです。どう考えても理由は、甘いもの好きな夫の影響。彼は私と正反対で、ほぼお酒が飲めず、その代わり甘いものが大好き。オレオやショートブレッドも1日で1箱ほぼすべて(なぜか1枚だけ残す)食べてしまうほどです。

 しかし、人が美味しそうに食べているものってどうにも気になりませんか? 近所のパン屋さんに行っても、私がクロワッサンを買うのに対し、夫は絶対パン・オ・ショコラ。そんなにいいのかしら……とちょっともらうと、確かに美味しい。

 そうしてつまみ食いをしているうち、恐ろしいことに酒量はそのままに、甘いものもイケる口になってしまったのです!

 そしてそれまで関心のなかったスイーツに目を向けてみると、日本では知らなかった美味しさにあれこれ目覚めてしまいました。例えばマカロン。昔会社員だった頃は、お中元やお歳暮で届いたものをよく口にしていましたが、甘くてねっとりしていて、失礼ながらそんなに美味しいと思ったことはありませんでした。ところができ立てのマカロンはフレッシュで歯触りもよく、パクパク食べられてしまう。気づけばお気に入りのお菓子のひとつになってしまいました。

2023.04.23(日)
Text=Mamiko Izutsu
Photographs=Yas