『架空OL日記』は、バカリズム自身が主演・脚本・原作を務めた作品。臼田あさ美、夏帆らが演じるOLたちに混じって、日々の他愛ない話に興じるバカリズムの姿は一瞬だけ奇妙に映る。しかし、見るうちにOLにしか見えなくなってくるから不思議だ。

 この作品でも、バカリズムはOLたちの、ときに脈絡のない会話を忠実に再現している。休憩室での延長コードをめぐるやりとりなどは、見ていて思わずクスッとしてしまう。

 バカリズムによる完全オリジナルストーリーが、大九明子監督によって映画化された作品『ウェディング・ハイ』も絶妙。中村倫也と関水渚が、結婚を控えた新婚夫婦役を演じ、その結婚式をプランナーとして取り仕切るのが、篠原涼子演じる中越である。

 式は予定通りに進まず、ハプニングに次ぐハプニングで大幅に時間が押してしまうのだが、敏腕プランナーである中越がなんとか時間を巻いて調整する。その過程がなんともコミカルに表現されているのと同時に、未婚のアラサーである中越がプランナーとして新婚夫婦の世話を焼く悲哀が、なんともリアルに描かれている映画だ。

 過去作を振り返ってみても、その脚本の秀逸さは確かなもの。『ブラッシュアップライフ』も放送前から期待値が高かったが、それを遥かに上回ってみせたバカリズムのセンスは、今後どんな高みまで迫るのだろうか。

2023.03.21(火)
文=北村 有