フェルト地のシールをもらったら、平面のシールで返すわけにはいかない。同じように、こちらがフェルトやタイルシールを引き渡したにも関わらず、譲り受けるのが平面シールだとしたら納得いかないだろう。シール交換は、幼いながらに等価交換の仕組みを学ぶ営みなのである。

 

爆発的なブームになった「たまごっち」も

 平成カルチャーを代表する玩具「たまごっち」も登場する。当時爆発的なブームになったことは世代を問わず周知の事実だろう。本編2話では、本格的なブームになる前の激レアたまごっち「白」が登場。育成名人・しーちゃんの手を借りて、これまたレアな「まめっち」に進化させている描写があった。

 このたまごっち、日中は学校に行かなければならない小学生たちにとって、育成は至難の業だった。自宅にいる親か祖父母の力を借りられれば問題ないのだが、たいていは「ウンチ」をためて病気にさせ、最終的には幽霊にしてしまうのがオチ。

 ちなみに筆者が小学生の頃は、住んでいたのが田舎だったために、たまごっちを手に入れることはできなかった。週刊少年ジャンプの「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に出てくるたまごっちのストーリーを読んで、一緒に育てている気になっていたものである。

女子小学生といえば「エンジェルブルー」

 たまごっちに並ぶ爆発的な人気を誇ったのが、ファッションブランド『エンジェルブルー』である。女子小学生といえばエンジェルブルー、エンジェルブルーといえば女子小学生といってもいいほど、平成初期の小学生はエンジェルブルーばかり着ていた。現在のアラサーでエンジェルブルーを知らない人間はいないだろう。

 もはやエンジェルブルーを見ただけで、平成初期にタイムトリップできる。試しに身近なアラサーにエンジェルブルーの画像を見せてみてほしい。懐かしさに卒倒するだろう。ちなみに「お茶犬」や「326」の画像でも同じ結果になるはずだ。

 筆者の場合、エンジェルブルーの洋服には手が出せなかったため(小学生向けブランドとは思えないほど結構な値段がする)、下敷きや鉛筆などのステーショナリーで気持ちをなだめていた酸っぱい思い出がある。

2023.03.21(火)
文=北村 有