――兼業作家であることのメリットとは何でしょうか?
ピエール手塚 やっぱり一番は、「生活の心配がないこと」ですね。もちろん連載が始まってからも大変ではありますが、収入的に辛いのは、連載獲得に向けて頑張っている期間です。会社員じゃなかったら、無収入の状態で「このネームは通るのか? 本当に商業デビューできるのか?」と悩むことになっていました。ほかに仕事があるぶん、漫画を描くのも仕事仕事した感じにならず、わりと健やかにやれています。
以前、兼業作家のカレー沢薫先生が「会社員という立場によって守られているものがある」と話していました。たしかに家を借りるにしてもクレジットカードを作るにしても、“会社員”であることで信用してもらえる場面って多いと思います。だからカレー沢先生の言葉にすごく共感したんですが、その後カレー沢先生は専業作家になっちゃいました(笑)。
6年かけてようやく「連載作家」に…遅咲きの漫画家・ピエール手塚(40)が明かす「チャンスを逃さない方法」 へ続く
2023.03.09(木)
文=原田イチボ@HEW