しかし、これからの子供たちにはそういった世界のエリート層と同じ教育を受けるチャンスが広がっている。英国のパブリック・スクールに代表されるようなインターナショナルスクールが日本にも増え始めているからだ。
象徴的なのは、2014年に軽井沢に開校した「UWC ISAK JAPAN」だろう。本校の売りはなんといっても国際バカロレア(International Baccalaureate:以下IB)プログラムの提供。IBプログラムとは、端的に言えば国際的に認められた大学入学資格のことだ。この学校の課程を晴れて修了すれば、もっぱら国内の大学受験のみに通用する高校卒業や高卒認定試験とは異なり、外国の大学という進路が拓けることになる。開学時には世界15カ国から生徒が集まったという「UWC ISAK JAPAN」は、教育に関心のある親たちをはじめ、大きな注目を集めた。
インターナショナルスクール“不毛の地”東京にエリート校がやってくる
2020年を境に日本はインターナショナルスクールの開校ラッシュに洗われた。同年には広島県で「神石インターナショナルスクール」(全寮制の小学校)、「瀬戸内グローバルアカデミー」がそれぞれ設立されている。そして2022年には「ラグビー校」と同じく英国で“ザ・ナイン”の1つに数えられる名門校「ハロー校」が岩手県安比に開校した。長野県白馬には「白馬インターナショナルスクール」、愛知県には「国際高等学校」が開校。いずれもIBプログラムを提供している。
2012年から22年までの10年間で、世界のインターナショナルスクールの数は60%増加(8246校から13180校)、生徒数は385万人から589万人へと53%増加した。無論、教育は儲かるものでもあり、全学校の収入は280億ドルから538億ドルと90%の増収になっている(ICS RESERCHより)。
中でも顕著なのが人口爆発、経済発展が著しいアジア圏でのインターナショナルスクールの増加である。もともと英語がほぼ公用語化しているシンガポール、香港はさもありなんだが、タイのバンコクにすでに89校ものインターナショナルスクールがあるという事実には驚かされる。
2023.03.07(火)
文=児玉 博