この記事の連載

 一台の信号機も必要としないごく静かな島が、ここ数年、にわかに注目を浴びている。

 その理由は、この島を覆い始めたサステナブルな雰囲気にある。迫力ある大自然が残り、可愛らしい暮らしが息づくこの島の魅力に、今こそ気づいてほしい。

 高級リゾートやラナイ散策で訪れてほしい最旬スポットを、5回に渡りご紹介。今回は前回に続きラナイ島の2カ所にリゾートを構えるフォーシーズンズ・リゾート。それぞれが目指す、ラグジュアリーなステイのあり方をご紹介。


ネイチャーと一体化したヴァカンスを楽しむ

◆Four Seasons Resort Lanai(フォーシーズンズ・リゾート・ラナイ)

 ラナイ空港でチャーター機を降りた後、この島のもう一つのフォーシーズンズを選んだ旅人は、海を目指す。

 エントランスをくぐると、きらめく海の姿が目に飛び込んでくる。その様子は、ロビーの梁と柱を額縁代わりとした、美しい一枚の絵のようである。

 ご覧の通り、「フォーシーズンズ・リゾート・ラナイ」は、絶好の立地を誇るホテルだ。冬ともなれば、目の前のフロポエ湾にはクジラが訪れ、リゾートからは肉眼でウォッチングできる。

 海にはアオウミガメも現れる。鹿もしばしば近くの森で見かける。岬に向かって少し歩いたならば、オナガミズナギドリが営巣する野鳥保護区がある。ハワイの他の島とは様相の異なるネイチャーを体感することができるのだ。

 庭園には、まるでジャングルのごとく、ハワイの固有種の植物が繁茂する。これらの植栽の配置は、ゲストのプライバシーを守ることができるよう、周到に計算されているというから面白い。

 そんな庭園に囲まれた客室は、木材をふんだんに使ったウッディなムードが心地よい。

 また、スイートもゲストルームも、ラナイと呼ばれるベランダの面積が広い。デイベッドに寝転びしばしまどろめば、この島の大自然と一体化した気持ちになれるだろう。

 ダイニングは、ステーキ&シーフードの「ワン・フォーティ」、和食の「ノブ・ラナイ」、地産地消の「マリブ・ファーム」など。ジャンルも店の雰囲気も、ともに幅広いのが嬉しいところだ。

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ホテリエが語る「フォーシーズンズとラナイ島の関係」

ラナイ島の魅力は、ホスピタリティ。島民は、ドールの農園で働いていたころから、世界中の人々に自分たちの育てたパイナップルを堪能してもらいたいという気概を持っていました。
現在、ラナイのフォーシーズンズ・リゾートでは、2軒合わせて約750人を地元から雇用しています。全人口が3,000人ほどの島で、この数字は少なくない。
かつてドールが担っていた立場を、今はフォーシーズンズが引き継いでいると言っていいでしょう。
ラナイ島は、太陽光発電を積極的に導入するなど、サステナビリティにも敏感な土地柄。
ウェルネス志向の人々がセンセイを目指すように、ラナイ島が、単なる観光地ではなく、目的を持った旅のデスティネーションになればいいなと思っています。


Avi Phookan(アヴィ・フーカン)

1985年インド生まれ。ウェスティン、ザ・リッツ・カールトンなどのホテルグループ勤務を経て、2022年に「フォーシーズンズ・リゾート・ラナイ」のリゾートマネージャーに着任。

Four Seasons Resort Lanai(フォーシーズンズ・リゾート・ラナイ)

所在地 1 Manele Bay Rd., Lanai City
電話番号 808 565 2000
客室数 213室
料金 1室 1,200ドル~
※ラナイ・エアによるホノルルとラナイ間の送迎を含む。適用期間や条件などの詳細は要確認
https://www.fourseasons.com/jp/lanai/

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Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2023.02.23(木)
文=下井草 秀
撮影=橋本 篤
コーディネート=工藤まや

CREA Traveller 2023 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

生まれ変わった楽園を旅する 愛しきハワイ

CREA Traveller 2023 vol.1

生まれ変わった楽園を旅する 愛しきハワイ

特別定価1,500円 (税込)

「CREA Traveller」2023 vol.1の特集は、「愛しきハワイ」。