気づけば8時間以上も滞在した理由

 当初、滞在はせいぜい3~4時間だろうと思っていたが、気づけば計8時間以上! それでもこのまま深夜割増料金1980円を支払い、朝9時までいたくなった。館内着から洋服に着替えて、寒い外に出るのが億劫になった。そう、私は腑抜けてしまったのだ。

 結局、チェックアウトで支払った金額は、当初の施設使用料に加え、垢すり代金と昼と夜の2食分で1万円ちょっと。想定していた金額の倍以上支払ったが、温泉に入浴でき、時間制限なくリラックスラウンジをフルに利用できるなら……相応の値段といえるかもしれないと最終的には感じた。

 各地の名湯に出かけて温泉に浸かることと、都心スパで過ごすことは全く別物の体験だと考え直した。土地の人との出会いもあり、好奇心がそそられ、それを満たしてくれる旅は能動的であるのに対し、都心スパは実に受け身。ただ湯に入り、サウナに入り、エステをして、ご飯食べて、寝ているだけの時間。行動と弛緩が繰り返される旅と、緩むだけの都心スパとでも言おうか。

 よく私は、温泉地での入浴と家風呂は全く違うと表現するが、同様に温泉地での入浴と都心スパは似て非なるものだった。これからは純粋に力を抜きたくなったら、都心スパを訪れようと思う。

2023.02.17(金)
文=山崎まゆみ