山下書店渋谷南口店を訪れると、ひときわ目立ついい場所に『世界の中心で、愛をさけぶ』を置いてくれていて。発売から1年以上経ってもこつこつ売り続けてくれている書店員さんの心意気を感じたんですよね。さらに丸善ブックメイツ横浜ポルタ店に行ってみると、本の横に印象的なポップが立っていたんです。「渋谷で女子高生に売れてます」と書いてあり、それを見た瞬間に「この本は売れる」と思いました。

 というのも、僕の大学時代はコギャルブーム全盛で、彼女たちの全能感がうらやましかった。世の中はコギャルを中心に動いていて、彼女たちがかわいいと言った商品が売れて、ブームも彼女たちが作っていた。そのときの感覚が、そのまんま書かれたポップだったんです。渋谷の女子高生がこの本を読んでいるなら間違いなく売れるだろうと、この段階で確信に近いものはありました。

 そこで手ごたえを感じて、すぐに3000部の重版をかけました。ちょうどこの頃、例の先輩に「この本いくつ売れると思ってるの」と聞かれて、「100万部売れると思います!」と即答したらしいんですよね。まだ累計1万5000部でしたが(笑)。

――重版した後の反響はいかがでしたか?

 

新里 この本をひいきにしてくれている書店員さんなどに「重版するんですけど、注文してもらえませんか」と声をかけたら、3000部があっという間になくなっちゃって。書籍は委託商品なので、「そんなに気前よく配本して、返品されたらどうするんだ」と上司からめちゃくちゃ怒られましたね。

 怖いもの知らずの新入社員だったので「こんなに売れるなら、もっと重版したほうがいいんじゃないですか」と食い下がって、また怒られての繰り返しでした。「じゃあもう一回注文取ってみます」「書店に営業の手紙を書いてみます」とか言ってこつこつ重版していくんですけど、重版した分がすぐ売れて、どんどん部数が大きくなっていきました。

2023.01.09(月)
文=「文春オンライン」編集部