●映画館で知り合った柄本佑、染谷将太らとともに作った『きみの鳥はうたえる』

――そして、18年『きみの鳥はうたえる』を撮られますが、主演を務めた柄本佑さんとは、もともと知り合いだったんですか?

 映画館に行くと、なかなかのオーラを発しながら前の方に座っている柄本くんをよく見かけていましたが、吉祥寺のバウスシアターでやっていた何かの「爆音上映」で染谷将太くんに紹介してもらったのが最初の出会いですね。それで「きみの鳥はうたえる」の原作を読んだときに、「柄本くんと一緒に映画を作ったら面白そうだ」と思い、声をかけさせてもらいました。今では普通の仕事以上の付き合いがありますね。

――「第92回キネマ旬報ベスト・テン」で日本映画ベスト・テン第3位、「映画芸術 2018年日本映画ベストテン」では第1位と、さらに高い評価を得ることになります。

 『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』と、これまで先輩の監督たちが佐藤泰志さん原作の映画を撮ってきたので、下手なものは作れないとか、原作モノが初めてというプレッシャーはありました。多くの方が観てくれたので、とにかく安心しましたね。それに自分はさておき、佑くんも主演男優賞を獲ったり、音楽をやってくれたHi’Specも「毎日映画コンクール」で音楽賞を獲ったり、一緒に映画を作ってきた人たちが評価されることが実感できて嬉しかったです。

――その後、18年にフィクションとドキュメンタリーを融合した実験的な青春映画『ワイルドツアー』を撮られます。やはり三宅監督は青春映画への想いが強い気もします。

 青春映画は好きなジャンルなので影響も受けているかもしれませんが、ただ、自分の中に「青春」というワードはなくて、新しいことをしたい、知らなかったことをやりたいというモチベーションの方が強いです。どこかで前作を否定したいし、何かしらの期待があるなら裏切りたいんですよね。

2022.12.09(金)
文=くれい響
写真=今井知佑