――いつから構想していたのですか。
小川 クイズを小説にしたいと言い始めたのは、4~5年くらい前です。でも実際に書き始めたのは、今年の2~3月くらいかな。4月が締め切りだったので、年明けから準備し始めて、初稿の執筆は1か月くらいで書き終えました。そのあと細かく直したりはしたのですが。短編小説を書く勢いのまま走り切った感じです。
ふたりの強力なクイズプレーヤーが執筆に協力
――小説内ではいろいろなジャンルのクイズが出てきます。どうやって問題を作ったのでしょう。
小川 仕事でクイズプレーヤーの徳久倫康くんと知り合って。あと、「高校生クイズ」で伊沢拓司くんと一緒に優勝した、田村正資くんというクイズプレーヤーが大学の後輩なんですよ。徳久くんと田村くんとは、気軽にいろいろ聞ける関係性だったので、ふたりに協力してもらいながら書いていきました。クイズ的におかしな部分があれば、ふたりが全部教えてくれるんです。だからすごく心強かった。
それに、徳久くんには途中まで問題作成も手伝ってもらったんですよ。例えば僕が、「ウーロン茶に関係するクイズを作りたい」と言ったら、彼はすぐに5問くらい用意してくれるんです。それぞれの問題の確定ポイントとかも全部教えてくれる。
しかも、クイズプレーヤーがどう考えて問題に答えているのかまで説明してくれるから、本当に勉強になりましたね。
“ゼロ文字押し正答”のアイデアはどのようにして生まれたのか
――今回の作品は、“衝撃のゼロ文字押し正答”からストーリーが展開していきます。このアイデアはご自身で考えたのですか。
小川 そうです。ゼロ文字押し正答は、書く前からぼんやりと考えていました。クイズプレーヤーにとって一番のロマンは多分、問題文が読まれる前に正答することだな、と思ったので。
クイズに興味がない人にとっても、すごくわかりやすい謎じゃないですか。僕はクイズの話を書きたかったけど、クイズを知らない人にも読んでほしかった。だから、そういう人たちにどうやってこの本を手に取ってもらおうかと考えたとき、ゼロ文字押し正答が一番インパクトを与えられると思ったんです。
2022.11.06(日)
文=「文春オンライン」編集部