東京を拠点に活動する若手アーティスト、中村桃子と塚本暁宣による二人展「A Walk in the Park」が2022年11月6日(日)まで、アートギャラリーのSAIにて開催中。

 「肖像」をモチーフに、さまざまな作品を生み出すふたりの初のコラボレーションということで注目を集めている展覧会だ。


中村桃子《slowly》 2022年。
中村桃子《slowly》 2022年。

 「好きなフォルムを描いていたら自然と辿り着いた」と話す中村桃子。彼女が生み出す作品は、スタイリッシュでエモーショナルな女性と、印象深い花々が繰り広げるポップで不思議な世界観を持つ。

 渋谷区出身で、幼少期に旧宮下公園で過ごしていた思い出を持つ中村。今回の会場が、生まれ変わった宮下公園、MIYASHITA PARKということで、縁を感じずにはいられない。

 子どもの頃の記憶をなぞるように、頭の中に浮かんだ気持ちを書き留めながら作品を制作したそう。中村のリアルな感情が投影された作品を間近で堪能したい。

塚本暁宣《Greenday》 2022年。
塚本暁宣《Greenday》 2022年。

 対する塚本暁宣は、武蔵野美術大学院を卒業後、単身ニューヨークへ。アシスタントとして学んだ後、2020年に帰国。現地のグラフィティー文化やポップ・アート、そして古典絵画の芸術家たちの作品から影響を受け、新しいキュビズムのスタイルを確立している。

 一見相容れないように見えるふたりが同じ空間の中で衝突するとき、作品から感じ取れる哀愁さや絶妙なフォルム、そして大胆な色使いが、自然と重なっていることに気づく。

 展覧会のタイトル「A Walk in the Park」は「難しくない、簡単だよ」といった意味のスラングからで、塚本が名付けたそう。会場とも重なる単語が組み込まれた軽妙なタイトルは、実験的な試みを持つ同展にちょうどよいバランスを与えている。

 展示では、100号を最大としてさまざまなサイズのキャンバス作品やドローイング、立体作品とふたりの新作が会場を華やかに彩る。

中村桃子(なかむら・ももこ)

1991年、東京生まれ。グラフィックデザイン事務所を経て、アーティストとして活動。絵の展示のほかに、装画、雑誌、音楽、アパレルブランドのテキスタイルなどのイラストレーションも手掛ける。作品集に『HEAVEN』がある。
Instagram @nakamuramomoko_ill

塚本暁宣(つかもと・あき)

1989年生まれ。武蔵野美術大学大学院修了。2016年に渡米し4年間のNY滞在を経て、現在は東京を拠点に国内外問わず多数の展示を行っている。

二人展「A Walk in the Park」

期間 2022年10月27日(木)~2022年11月6日(日)
場所 東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
時間 11:00~20:00 (無休) 
電話番号 03-6712-5706
Instagram @sai_miyashita

2022.10.29(土)
文=CREA編集部