PMSとは、「月経前症候群」(PreMenstrual Syndrome)、生理前の不調のことです。PMSの症状は、仕事や家事の効率、さらには人間関係にまで影響を及ぼす可能性があり、本人だけの問題にとどまりません。

 CREAがPMSを考えるシリーズの締めくくり。今回は、季節や気象とPMSの関係について、小川真里子先生に聞きました。このシリーズが、皆さんの人生の質の向上につながりますように!


季節の変わり目、PMSが悪化する!?

CREA読者のお悩み ケース7

毎月、生理前はPMSで頭痛とむくみに悩んでいますが、9月はそれがいつにも増してひどかったんです。考えてみると、台風が近づいてきている時でした。気候や季節って、PMSに関係あるんでしょうか?(会社員 29歳)

――お悩みのように、気候や季節はPMSにも影響するのでしょうか。

小川先生「はっきりとしたデータなどはまだありませんが、更年期ではそういう声もよく聞きますので、おそらくPMSも関係あるのだと思います。季節の変わり目に起こりやすい季節性感情障害(SAD)は、秋から冬にかけて発症しやすいという話もありますし、人間の体は気候や季節に影響を受けていると考えるのが自然なのかもしれません。周期的にホルモンバランスの変わる女性の体は特に、気圧の変化などに敏感に反応してしまうことも考えられます」

──低気圧頭痛、というのも聞きますね。

小川先生「天気や気圧、湿度など、気象の変化によって起こる不調は気象病や天気痛などと呼ばれ、近年、認知度が広がってきていますよね」

──季節の変わり目は、つまり気象が大きく変化するときですものね。PMS対策としてできることはありますか?

小川先生「まずは、自分の体が季節や天候にどの程度影響を受けているのかを知ることですよね。そのための対策となると長期にはなりますが、年間を通して体調の変化をメモしておくことが、もっとも手軽で確実です。手帳でもアプリでもいいので、『イライラがひどい』とか『頭痛でしんどい』とか、ちょこっと書くことを続けてみてください。3カ月くらいでPMSの傾向が見えてきて、半年続けると仕事と体調の関連なども今以上に可視化できる。そして1年続けると、季節による体調の変化を予測できるようになるはずです」

──気が長い感じもしますが、まだまだ生理との付き合いが続く世代の人は、年間を通して自分の体をわかっておくほうがいいですね。

小川先生「季節の変わり目など、調子を崩しがちな時期が把握できれば、そこに仕事を詰め込みすぎないようにするなどの対策が立てられます。とはいえ、仕事の調整は自分の都合だけではどうにもならない部分もあるでしょうから、プライベートな予定を加減するとか、ストレスの元となる事柄からはなるべく距離をおくことができるといいですよね」

──調子が悪くなりそうとわかっている時期に、少なくとも旅行やキャンプは避けたいですね!

小川先生「恒例行事があると、お友達やパートナー、家族に遠慮があるかもしれませんが、『毎年、この時期は調子を崩しやすい』と打ち明けてみたら、お友達からは案外、『私も!』という声が上がるかもしれません。それに、以前もお話ししましたが、パートナーのほうが先にPMSの症状に気づいているケースは多いので、打ち明けてみることで、まだ自分でも気づいていない状態を教えてくれるかもしれませんよ」

2022.11.15(火)
文=今富夕起
イラスト=竹井晴日