レモンの旬は晩秋! イタリアのレモンには3種類の呼び名があります

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 暑すぎた夏も終わりに近づいてくると、やはり寂しさを感じます。

 イタリアの秋も、街並みにはどこか寂しさが漂います。ただ、「味覚の秋」「食欲の秋」の言葉通り、イタリアでも食材は秋がいちばん豊富! 多彩な食材のおかげか、ついつい食の話題が増えるのも秋ならでは。

 食べるのも喋るのも大好きなイタリア人、集まる先で「採れたてのポルチーニをどう食べようか」「あの店の葡萄のフォカッチャが楽しみだ」「今年の栗祭りはどこに行こう」などなど、話題は尽きません。

 日本同様にイタリアの秋の旬といえばキノコや栗ですが、実はあまり知られていない意外な食材があるんです。

 それは「レモン」。

 爽やかな夏の食べ物のイメージがあまりにも強いレモン。え? と聞き返しそうになりますが、確かに調べてみると、露地栽培のレモンは春から夏に花を付け9月から3月までが収穫のピークを迎えるとのこと。

 むしろ9~10月は早摘みで、あの黄色く熟したレモンは12月近辺がピークなんだとか。秋というか、冬の食べ物と言ってもいいぐらいです。これはイタリアだけではなく日本も同じで、量は少ないですが国産レモンの旬も冬とのこと。

 以前、夏に南イタリアを訪れた時、街中がレモンで溢れ、夏のイタリアらしい光景だな~と思っていましたが、あれはなんだったんだろう?

 イタリア国内の約7割のレモンを生産しているのはシチリア州。一年中収穫できる種類も多いのですが、春先に収穫されるレモンは「ビアンケット」と呼ばれ、緑色の夏レモンは「ヴェルデッロ」、そして冬に収穫される黄色いレモンが「リモーネ」と呼ばれます。

 果実は驚くほど果汁が多く、酸味はまろやかで甘いのが特徴。季節ごとに名前が違うとは、イタリアのレモンへの情熱ハンパじゃない!

 ちにみに、レモンといえば南イタリアなのですが、北イタリアのガルダ湖の近くに「リモーネ・スル・ガルダ(ガルダ湖のレモン)」という小さな村があります。

 アルプスに囲まれた寒いイメージで、レモンを栽培している地域としては最も北にある場所。レモン推しの小さな村ですがレモン博物館などがあり、北のレモンと南のレモンで食べ比べるなどの楽しみ方も出来そう。

 ということで! これから旬を迎えるレモンを使った簡単なお魚料理「カルトッチョ」をご紹介します。「紙包み焼き」を意味していて、アクアパッツァよりも簡単に作れますよ!

2022.10.06(木)
文・写真=齊藤奈津子