無類の抹茶好きの福田淳子さん。抹茶のことを大研究してわかった結果をもとに、100以上のレシピをまとめたのが『抹茶のおやつ』です。「もっと気軽に抹茶を楽しんでほしい!」という想いが込められたレシピをご紹介します。


「もっともっと気軽に抹茶を楽しんでほしい!」

 抹茶のおやつは、手作りがおいしい。

 この本を手に取ってくださったあなたは、きっと、すでに抹茶が好きなひとのはず。今までに抹茶のお菓子をたくさん召し上がってきたことでしょう。抹茶といっても、そのクオリティは様々。色も、味わいも、香りも、それぞれまったく違うものです。

 そもそも抹茶は高級品なので、原価を考えながら作る市販のお菓子では、質のよいおいしい抹茶をふんだんに使いながら、お手頃価格を実現することは難しいのが現状です。

「抹茶をたくさん加えれば、おいしいお菓子になるのか?」といったらそれもまた違います。抹茶の量が増えると味は濃くなりますが、食感がパサついたり、苦みが立ちすぎて全体の味のバランスが崩れたり。

「抹茶の風味と色を最大限に活かした、おいしいお菓子が食べたい!」のであれば、質がよく保存状態もよいものを選んで購入するか、自分で作るか、そのふたつにひとつだと思うのです。わたしのおすすめは「自分で作る」こと、そして「自分好みのおいしさを見つける」ことです。

 なにを隠そう、わたしも無類の抹茶好き! たくさんの抹茶を飲み、いろんな方法でお菓子を作り、抹茶のことを大研究してわかった結果をもとにこの本を作りました。おうちで作るからこその工夫を凝らしたレシピはその数100以上! 「もっともっと気軽に抹茶を楽しんでほしい!」という想いを込め、“お菓子”というよりは“おやつ”と呼んでほしいような味を揃えました。

 あなたの食べたい抹茶のおやつもきっとあるはず! そう、信じています。気分や季節にあわせていろんなレシピを楽しんでみてください。そして日本が誇るおいしい抹茶をもっと身近に感じてもらえたら、これ以上うれしいことはありません。

1. 抹茶は「新鮮さ」が命です

 抹茶はナマモノ。どんなに高級な、質のよい、おいしい抹茶だとしても、開封と同時にどんどん味が落ちます。保存方法が間違っていると急激に質が落ちますし、商品によっては未開封でも風味が落ちている場合も。焼き菓子などは、作ったあとも日光に当たると色が褪せ、時間とともに味わいが変わります。だからこそ、手作りのおやつ、できたてのおやつがおいしいのです。

2. はじめはレシピ通りに

 抹茶も、小麦粉も粉末ですが、吸水率がまったく異なります。抹茶は吸水率が高いので生地に加えることで粘度が増したり、焼くと焦げやすくなったりします。つまり、いつものレシピに単純に抹茶を加えるだけでは、食感がパサついてしまったり、膨らみが悪かったり、苦みが強すぎてしまったり。抹茶の量が増えれば、味は濃くなりますが、おいしくなるわけではありません。はじめてトライするときはぜひ、レシピ通りに作ってみてほしいです。

3. しっかり、はかりましょう

 抹茶は比重が軽く、1グラムの違いでも大きな差が出ます。また高価な材料でもあるので、存分に抹茶を楽しむためにもしっかりとはかって使うことをおすすめします。この本ではグラム数と一緒に計量スプーンの目安も併記しています。そのほとんどは小さじ1(2.5グラム)、大さじ1(7.5グラム)をもとにしています。すりきりで大事にはかって。

4. やさしくていねいに作業し、抹茶の風味を活かします

 抹茶は粒子が細かいので、勢いよく作業すると粉末が飛び散り、ダマにもなりやすいのが特徴です。そのため材料と混ざりにくいので、この本では「ふるう」「グラニュー糖と混ぜる」などの下準備のほか、湯を加えて「ペースト状になるまで混ぜる」など、抹茶の風味を活かし、おいしく作るための工夫と作り方をしています。巻末付録「お菓子作りの基本」もぜひ、参考にしながら、とびきりおいしい抹茶のおやつを楽しんでください。

2022.10.05(水)
文=福田淳子
編集=長嶺李砂