――嫌な思いをしたくない、ハズレを引きたくない。そう考える人は多いですよね。
荒木 うちの主人は、私との結婚で再再婚になるんだけど、まあまあ痛い目に遭っているわけですよ。痛い目を見ている人間のほうが人に優しくなれるし、人の感情を読み取る能力も上がる。傷つかないで成長するなんてことはありえない(笑)。コミュ力を上げるとか、人間的に成長するって仕事じゃないんですよね。恋愛のほうが急成長すると、私は思うんだけどなぁ。
若い人がよく「恋愛は億劫」って言うけど、その気持ちはわからないでもないんだけど、何かの間違いで良い流れが自動的に来たらいい――なんて思っていたら大間違い。そんなことはないから! 手堅く攻めることが現実的とは限らないからね。もし、再び日本の景気が良くなったとき、そういう男性ばかりになったら、心もとないと思わない?
写真撮影=志水隆/文藝春秋
2022.09.15(木)
文=我妻弘崇