シュールストレミング缶だけじゃない「スウェーデン食」の世界

――ラインナップは辻さんが決めているんですか?

 はい。スウェーデンらしさがある商品を、さまざまなところから集めています。一部の商品は、IKEAやカルディなどでもお買い求めいただけるものですが、一方で日本でまだ展開していないような商品も並べていますね。

 というのも、私たちの通常業務の中には、まだ日本では販売していない商品を扱ってくれる代理店探しもありますので、この自動販売機でテストマーケティングも兼ねているんです。

――なるほど。ここは、国内でもいち早くスウェーデンの商品を体験できる場所なんですね。人気の商品はどれでしょうか?

 最近だと、Bean to Barのチョコレートバーでしょうか。日系スウェーデン人のカカオハンターの方が、実際に産地に出向いて、カカオ農家とコミュニケーションをとり、直接輸入してスウェーデンでBean to Barで作っているという商品です。中でもカルダモンが人気。

 スウェーデンには、「フィーカ」という甘いものと一緒にコーヒーを飲む文化があるのですが、スウェーデン人はそのときにカルダモンのパンを食べるんです。そうした馴染み深いカルダモンを、チョコレートの中にも入れたもので。食べてみると、最初にふわっとカルダモンが香り、風味としてはまろやか。少しクセになる味で、人気があります。

 あと、ジンジャークッキーもスウェーデンの定番ですね。そのままコーヒーと一緒に食べるのもいいですが、スウェーデンだとブルーチーズを乗せて食べていますね。

――すべてオススメではあると思うのですが、その中でも辻さんのお気に入り商品を教えてください。

 

 個人的には、ハチミツですね。スウェーデンは、寒冷気候でありながら南部に養蜂に適した広大な土地がありまして。スウェーデン単体で、この時期に約4000トンのハチミツが取れるんです。 

 熱を加えていないので、ハチミツ本来の栄養素が損なわれず、栄養豊富ですし、日本のハチミツと比べて非常にクリーミーな味わいがありますね。

2022.08.27(土)
文=早川大輝