この自動販売機は、スウェーデンの食品をまとめて購入できる場所を作ろうと思って、設置しているんです。日本と言えば、自動販売機大国。食品の市場が大きい日本でスウェーデンの商品を買える自動販売機があれば面白いのでは、と企画しました。

――いつから置いているんですか?

 2020年6月からです。ただ、新型コロナウイルスの感染が広がり始めたタイミングと被ってしまいまして。もともとは誰でも入れたんですけど、今はみなさんにお越しいただくことが難しくなってしまったのが歯がゆいですね。本来はもっと広げたいなと思っているのですが、現状はここのみ。イベントなどで開いているときにお越しいただければ利用することができます。 

――シュールストレミング缶ばかり注目を集めていますが、そもそもスウェーデンの商品にはどんな特徴があるのでしょうか?

 

 大きな軸としては、「サステナビリティ」「イノベーション」「クオリティ」の3つですね。実は、スウェーデンは「グローバル・イノベーション・インデックス」で常に上位にランクインしていまして、さまざまな産業でその革新性が評価されています。例えば、「Sproud」というプラントベースのミルク。黄エンドウ豆で作られています。

 スウェーデンでは、ヴィーガンやベジタリアンが人口比率10%、Z世代に限ると30%ほどおりまして、環境意識が非常に高いんです。なので、スウェーデン国内では、牛乳からプラントベースミルクへの置き換わりが進んでいて、さまざまな商品が登場しているのが面白いですね。

 他にも、まだ輸入前の商材ですが、チョウザメのキャビアも興味深いです。本来、キャビアは、チョウザメのお腹を開いて卵を収穫し、それを熟成させることで作りますが、チョウザメを殺さずにキャビアを作る技術ができたんです。

 人間の妊婦のように、超音波を当てたり、マッサージしたりすることで、出産させて、卵を収穫する。2年のサイクルでまた、収穫できるという非常にイノベーションな技術だと思います。最初は星付きのレストランに卸すような形から始まると思いますが、将来的にはこの自動販売機の中でも販売してみたいですね。

2022.08.27(土)
文=早川大輝