その症状がかぜなのか、細菌感染なのかは医療機関を受診しなければ分からない。1週間の自宅待機で治ればかぜ、そうでなければ別の病気。その1週間は、症状に合った市販薬で症状を抑える――これが大事な流れ、ということなのだ。

 

【頭痛薬】「クイック系」にご用心

 医師にも「頭痛持ち」はいる。アンケートで「市販薬を使う」と答えた18人の医師のうち4人が「市販の頭痛薬を使うことがある」と答えている。商品名としてはセデス、ロキソニン、バファリン、イブ、タイレノールなどが挙がった。

 医師は市販の頭痛薬とどう付き合っているのか。獨協医科大学副学長の平田幸一医師に聞いてみた。

「片頭痛や群発頭痛の場合は、医療機関で検査を受けたうえで処方薬を使うべきですが、肩や首の緊張感が引き起こす緊張型頭痛の場合、市販薬で対応できることも多いです」

 頭痛を対象とした市販薬は200種類を超え、自分に合った薬を見つけるのは意外に大変だという。

「純粋な緊張型頭痛の人は、しっかりと首周りのストレッチで筋肉をほぐしたり、適度な運動をすることで症状が治まっていくのが一般的です。しかし、パソコンに齧りついていなければならない職務形態など、適度な運動ができない人の中には『市販のアスピリンが効く』と言う人を見かけることがあります」

 当然、副作用のリスクもある。

「空腹時にロキソニンなどのエヌセイズを飲むと、胃にダメージが及ぶ危険性があります」

 市販薬選びの注意点として平田医師が指摘するのが、効果の「立ち上がり」だ。薬の立ち上がりがいい、つまり飲んでから効果が素早く出てくるというのは、頭痛に悩む人にとってたしかに魅力的だろう。「すぐ効く」などとセールスポイントとして強調された商品もあり、ついつい手を伸ばしてしまいがちだが……。

「これらの薬にはカフェインなどが配合されており、即効性がある半面、依存性への影響も懸念されます。商品名に『クイック』などの言葉が使われている薬はこれに該当します。飲んでよくないわけではないし、市販薬で凌げるならそれでいいと思う。ただ、使用過多にならないように注意する必要はあります」

 平田医師は「どの商品にも同じことが言えるのですが」と前置きしつつ、最後にこう指摘する。

「月に10回以上薬を使わなければならない場合は、薬の使用過多や薬物乱用性の頭痛の可能性もある。そうなると上手に断薬をしていく必要があるので、一度医療機関を受診してほしい」

「市販薬を使うか」医師38人にアンケート “なんでも正露丸”は止めよう へ続く

2022.07.06(水)
文=長田昭二