38人中、18人の医師が「市販薬を使う」

 狙いを外した薬を飲んでしまうと、効き目がないどころか、逆効果になる恐れもある。

「全体の症状を一気に抑える、総合感冒薬というタイプの薬も多く市販されています。ただ、これは狙っていない症状にも作用するため、余計な副作用が出る危険性がある。特に腎機能や肝機能への副作用のリスクがあり、高齢者は避けたほうがいい。

 医家向けにも、PL顆粒という鼻、咳、のどの症状を網羅した一種の“総合感冒薬”がありますが、これを処方する場合、医師はかなり気を付けているはず。最近では、高齢者には処方しないケースも増えています。市販薬を探す際も、“総合”ではなく、鼻水用や咳用など“症状別”のかぜ薬を選ぶことをお勧めします」

 さらに、津島医師はこんなアドバイスもしてくれた。

「解熱鎮痛薬のアスピリンに代表されるエヌセイズ(非ステロイド性消炎鎮痛薬)には、ぜんそくを誘発させる成分が入っています。ロキソニンもエヌセイズの一種。ぜんそく持ちの人は避けたほうがいいでしょう」

 今回この記事を書くにあたり38人の医師に「市販薬を使うか」というアンケートを取ってみた。その結果、18人の医師が「使う」と答えた。回答を寄せてくれた、池袋大谷クリニック院長で呼吸器内科が専門の大谷義夫医師に話を聞いた。

ぜんそく持ちなら申告は必須

「ぜんそくの基礎疾患を持つ人のなかに、数%の割合で“エヌセイズ過敏症”“アスピリンぜんそく”と呼ばれる人がいます。この人たちがエヌセイズを使うと、重篤なぜんそく発作を起こすことがわかっている。いつも使っている気管支拡張薬では歯が立たず、救急搬送が必要になります。そしてアドレナリンの注射やステロイドの大量投与といった処置を受けることで、どうにか落ち着きを取り戻すことができるのです」

 医療機関でも、ぜんそく持ちの人はそれを医師に申告することを忘れてはいけない。実際、患者がぜんそく持ちだと把握しないまま、医師がアスピリンやロキソニンを処方してしまうケースがあるという。

2022.07.06(水)
文=長田昭二