ビルから飛び降りるスタントも!

――台湾で初めてアクションをやってみて、サクッとできるものなのでしょうか。

藤岡 自分ではどうだったか分からないんですが、アクション監督は、わりと素質があるというのか、動きが速いということは言ってくださいました。でも、とにかく仕事に関しては常に必死でしたね。

 語学が全然できなかったので、たとえば振付師の人が何を言っているのか分からないんですけど、みんなの動きを見よう見まねでどうにか覚えて、それから家で練習したり。もう……必死でした。その甲斐もあって、最終的にはアクションドラマで出演者に殺陣を指導するまでになりました。

――台湾ではスタントにも挑戦されているとか。

藤岡 ワイヤーを付けて高いところから飛び降りたり、殴られて後ろに思い切り吹き飛んだり……。初めてのことばかりでしたが、スタントウーマンは経験できて良かったなと思っています。

 

藤岡 一度、カメラの位置の関係で、命綱が1本足りない状態でワイヤーアクションをしたことがあったんです。ビルの3階くらいから飛んで、途中で幅の狭いコンクリートにぴょんぴょんと2度着地しながら、3歩目で地面に降りるんですけど、真っ直ぐに進まないと足を踏み外して落下してしまう。

 今では、あの状況でよく飛んだなぁ……と思いますが、そうした危険な現場でも、努力しているところを見てくれる人がいて、次第に「麻美だったらできるかもしれない」と声がかかるようになりました。

――語学の勉強はどのように進めていたんでしょうか。

藤岡 台湾に住み出してからは、中国語の語学学校に月曜から金曜まで通っていました。宿題をこなす時間も入れると、毎日6時間程度は勉強していたと思います。その頃には、日常生活では時々台湾人に勘違いされることも出てきたので、徐々にオーディションを受けはじめて、CMやドラマに女優として出演するようにもなっていったんです。

2022.06.02(木)
文=松永 怜
撮影=釜谷洋史/文藝春秋