宮崎駿監督の名作アニメを舞台化した『千と千尋の神隠し』の東京公演が3月29日(火)に千秋楽を迎える。4月からは大阪、福岡、札幌、名古屋と全国で上演される予定。東京千秋楽を記念して、イギリスの演出家・ジョン・ケアード氏、映画に続き出演する俳優の夏木マリ氏、スタジオジブリ代表取締役でプロデューサーの鈴木敏夫氏の座談会を特別に全文公開する。(文藝春秋2022年2月号より。前後編の前編/後編はこちら)
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3月2日から帝国劇場で開幕する、舞台『千と千尋の神隠し』(プレビュー公演は2月28日と3月1日)。宮﨑駿監督の不朽の名作が、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の世界初演を手がけた、イギリスの演出家・ジョン・ケアード氏の手によって初めて舞台化される。
2021年11月9日、12月からの稽古を前に、ジョン氏、映画に続き出演する俳優の夏木マリ氏、スタジオジブリ代表取締役でプロデューサーの鈴木敏夫氏が語り合った。
鈴木 2001年に映画公開してから20年ちょっと。舞台化は感慨深いですね。
夏木 ジブリさんは舞台化の許諾が厳しそうなので実現しないだろうなと思っていました。それがまた「油屋」で働ける日が来るとはねえ。
ジョン 宮﨑さんのたぐいまれな想像力に満ちた世界を舞台化することは私にとって大きな挑戦ですが、大変光栄なことで興奮しています。
鈴木 ジョンがスタジオジブリに初めて来てくれた時、宮さんと非常に意気投合しまして。彼はジョンに「あなたの好きなように作ってください」と言っていましたよね。
ジョン とても楽しいミーティングでした。数分話した後、宮﨑さんが2つ返事で「いいよ!」と舞台化をご快諾してくださって。まさか、そんなすぐに許可をもらえるとは思ってもいなかった。だから、直後に「どうやるの?」と聞かれた時には一瞬パニックになりました(笑)。
鈴木 宮さんからしたら「もう俺の手は離れたから。あんなに多くの人に支持されたんだから、もう俺のものじゃない」という想いがあるんだと思います。
2022.04.03(日)
文=「文藝春秋」編集部