「頑張って友達を作らなきゃ」とは思わない

――そんなことが……。そうした大変な経験をしたときに、例えば友達に愚痴をこぼしたり、弱音を吐いたりすることもあるんでしょうか?

大塚 もともと、自分から表に出て誰かに声を掛けるようなタイプじゃないんです。誘われたらいく、という感じで。

――ご家族に相談されることもあまりなかったですか?

 

大塚 親にも自分のことはほとんど喋らないので、私がこういうことで悩んでいた、みたいなことは知らないと思います。あんまり「お母さん!」ってタイプじゃないので(笑)。

――子供の頃から、人とのコミュニケーションは受け身な方だったんですか?

大塚 小学校の低学年くらいまでは、すごい強気な人だったんです。何でも一番がいいし、女の子のグループを引っ張ってるような、そんなタイプでした。でも、それが巡り巡って、1回いじめられたことがあって。それからは、グループで動くことに一切興味が無くなりました。色々な人と仲良くなるよりは、信頼できる1人か2人と一緒にいればいいんだと思って。

――そう思われたのが小学生の頃?

大塚 小学校の高学年くらいですね。なので、頑張って友達を作らなきゃと思ったことは、それからは全くないですね。さすがに子どもを産んでからは、いろんな人としゃべっていかなきゃいけないというのもあって、ちょっとずつ社交的になって、ここ数年でようやく自分から誘えるようになったぐらいです。でも基本的には、やっぱり少人数でいいかなと。

「基本、仕事は楽しくないです(笑)」

――まずは大変だったこと、つらかったことについて伺いましたが、反対にこの19年間で楽しかったことを挙げるとすると、何になりますか?

大塚 んー、もちろん楽しいこともたくさんあったと思うんですけど……、でも、仕事では基本、楽しいことはないかもしれないですね。打ち上げとか、そういう仕事とは関係ないところは楽しいんですけど、テレビとかライブに出ても、表から見えている絵が今どうなってるかを常に考えて、自分の中で審査しながら歌っているので、楽しいなんて感覚でやったことがなくて。

2022.01.24(月)
文=松永 怜