「楽曲提供の人」になろうと思っていた

――「かっこいい」というイメージが自分にはまだ足りない、ということでしょうか?

大塚 やっぱり声の印象が強いのかな、とは感じていまして。音楽を聞いて、それがかっこいいのか、かわいいのか、何なのかとカテゴライズするときに、まず判断材料になるのは歌声だと思うんです。でも、私の声を聞いてかっこいいって言う人は、たぶんいないんですよね。

――自分の声は好きですか?

大塚 もともと、声の魅力は皆無だなって思ってます。ボイトレもやってみたものの、凄い歌唱力が必要な歌を歌えるかっていうとそうでもなくて。そもそも、私が普通に歌うときの声って、リリースしている声とは全然違うんですよ。そういう普通の歌声が全然魅力的じゃないというところから始まって、これじゃあダメだな、歌手はちょっとないなと。まぁいいか、それなら楽曲提供の人になろうと思ったんです。

 じゃあ売れそうな曲を作ろうってなったときに、でも楽曲提供するにしても仮歌が必要だと。ただ、アッパーな曲を書いても、自分の普段の歌声では合わなすぎるから、曲に合わせて声の出し方を変えてみたんです。そうしたら今みたいな歌声になったという。

――思わぬところから、今の歌声に繋がったんですね。

 

大塚 本来はパワフル系が好きなんですけどね。ちょっとしゃがれてるとか、ハスキーなもの、ファンキーな曲が好きなんです。でも、自分の声ではどうしてもそこに辿り着けない。私は正直好きじゃないんですけど、でも好きじゃないとか言ってられないというか、自分の持ったものをいかに生かせられるか、この声をどう良くしていけるかというところに、デビュー前から振り切った感じです。

新しい世代にも曲は広まっていく

――そうして生まれた大塚さんの楽曲は、今も様々な世代の人に広まり続けています。新しい曲はもちろん、過去の曲に再びスポットライトが当たることも多いですよね。例えば『さくらんぼ』は、芸人さんのコントやバラエティ番組で使われている場面もよく見ます。

2022.01.24(月)
文=松永 怜