クリスマスを間近に控えたシカゴで、子ども11人と大人4人のふた家族がケビン少年を家に忘れてパリへ旅立ってしまう。独り家に取り残されたケビンは自由を満喫するが、彼の家を狙う二人組の泥棒の影が迫っていた……。

 日本公開から今年で30周年となる映画『ホーム・アローン』といえば、言わずもがなのクリスマスの定番となった映画。見たことがなくてもタイトルを聞けばどんな物語の映画か知っている人も多いだろう。

 家にとり残された一人ぼっちの少年が、知恵と勇気を武器に泥棒を撃退するという話があまりに記憶に強く残っている『ホーム・アローン』だが、この撃退シーンは物語も終盤に差し掛かったクライマックス。物語の多くはケビン少年が自由をおう歌しながらも、孤独と家族への想いに悩みながら成長していく様を丹念に描き、ラストでは涙を流さずにはいられない。本作はただのキッズ映画ではない、ファミリー映画の傑作なのだ。

文字通りの“主役”はなんと言ってもマコーレー・カルキン!

 なんといっても本作の“すべて”といっても過言ではないのが、ノーマン・ロックウェルの絵から飛び出してきたようなケビン役のマコーレー・カルキン(当時10歳)だ。悲喜哀歓の表情がコロコロ変わる愛くるしさと、小さな体の大げさなアクションで大ブレイク。続編となる『ホーム・アローン2』にも出演した。

 しかしその後は出演作にも恵まれず、長い低迷を強いられ、ハリウッドの「子役は大成しない」というジンクスの話ではネタにあげられるようになってしまった。ちなみにそのジンクスは『ホーム・アローン』と同時期に公開された『ターミネーター2』で人気を博した子役のエドワード・ファーロングにもあてはまる。

 

じつは「ハリポタ」の監督も同じ人。彼の頭によぎったものは…

 本作の監督はクリス・コロンバス。20代でスピルバーグに脚本を売り込み、『グレムリン』『グーニーズ』の脚本を手がけ、今年20周年となる映画『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)と第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を監督した。

2021.12.28(火)
文=すずきたけし