あるときプライベートでバカンスに出かける際に、持ち物をリストアップしていて「こどもを忘れてはいけないな」と思ったのをきっかけに、10歳の息子を家に置いていったら彼は何をするのだろうか?と考え、本作のプロットを思いついたという。「いつもぼくだけ叱られる!」というセリフも、ヒューズ自身が子どもの頃に両親に言った言葉なのだとか。
大人にはどこか懐かしく、子どもには共感を呼び起こすケビンの瑞瑞しい感性は、ジョン・ヒューズの脚本によって普遍性を獲得している。
映画ではケビンだけをのけ者にし、ケビンを家に“忘れてしまった”ことで一見“毒親”にも見えてしまう両親や、いじめっ子に見える兄弟や従妹、そして不気味な隣人などが登場するが、それらが家族というテーマで収斂し涙なしには見られないクライマックスへと流れていく手腕は、クリスマスに家族で見る映画として見事というほかはない。
公開初週で41億!公開当時の驚異的なヒットは金額だけでなく…
『ホーム・アローン』は1990年11月16日にアメリカ本国で封切られた当時、初週で2730万9391ドル(当時のレートで約41億円)の興行収入を叩き出し大ヒット。
しかし本作のヒットの特異さはその期間の長さにある。通常、映画興収は長くても5週目から6周目あたりで減少傾向になるが、『ホーム・アローン』は封切以降、6周目(12月21日~12月27日)に盛り返し、7周目(12月28日~1月3日)にはなんと封切りの興収を上回る2911万5944ドル(同約44億円)の成績をたたき出す。最終的に12週間ものあいだ興収トップとして君臨し、『E.T』(89)『スターウォーズ』(77)に次いで当時のアメリカ映画史上3位の記録的大ヒットとなった。
日本ではクリスマスが舞台の映画ながら公開はアメリカ公開の翌年の6月22日に日比谷スカラ座と梅田スカラ座で先行上映され、7月6日から全国公開の「夏休み映画」になってしまったが、現在でも多くの人がそのタイトルを知っているとおりの大ヒットとなる。
2021.12.28(火)
文=すずきたけし