よくあるデスゲーム作品に思えるが……
ではここからは、本作の中身についてみていこう。まずは、簡単なあらすじ。舞台は現代の韓国。様々な原因で生活に困窮する456人が、一獲千金のゲームに勧誘されるところから物語は始まる。456億ウォンの賞金に目がくらんだ参加者は、その内容が負ければ死のデスゲームと知り……、といったものだ。
これだけを見ると、言葉を選ばずに言えば「よくある」ものと変わらない感触を得るのではないか。特に日本は「デスゲームの元祖」と言われるほどこの手の物語が盛ん。漫画・小説・アニメ・映画・ゲーム――閉鎖空間に集められた人々がデスゲームに参加する、という筋書きは、王道と言っていいほどに長い歴史がある。
映画化された『インシテミル 7日間のデスゲーム』はもちろん、『DEATH NOTE』や『賭ケグルイ』『奴隷区 僕と23人の奴隷』『トモダチゲーム』なども含めれば、枚挙にいとまがない。『バトル・ロワイアル』や『人狼ゲーム』シリーズが若手俳優の登竜門的なポジションを築いたように、日本のエンタメの近代史は、デスゲーム要素をはらんだ作品と切っても切れない関係性にあるのだ。
すなわち、物騒な内容ではあれど、我々日本人にとって慣れ親しんだものであり、その土壌の上に『あなたの番です』や『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』、あのカルト作『CUBE』を日本でリメイクした『CUBE 一度入ったら、最後』(2021年10月22日[金]より公開中)があると考えると、現在に至るまで連綿と受け継がれてきたものでもあるのだ。
実際、『イカゲーム』が出始めたときは第一印象で『賭博黙示録カイジ』や『神さまの言うとおり』を想起する人が多かったように感じる(子どもの遊びという点では『20世紀少年』ともリンクするだろうか)。それこそNetflixでは『今際の国のアリス』が先行して走っており、この時点では二番煎じ感は否めなかったのではないか。
2021.10.24(日)
文=SYO